”つかさん”の芝居が、1982年の劇団解散前と1989年の再結成後で、
大きく変わってしまったのはなぜだろうか?
という私の長年の謎に、扇田昭彦(演劇評論家)が”つかさん”への
追悼文で答えてくれた。
以下、「切ない内出血の喜劇 つかこうへい氏を悼む」
「直木賞受賞後、彼は小説に専念したが、演劇への思いは断ちがたく、数年後に演劇界に
復帰した。だが、そのころはすでにバブルの時期で、つか演劇と時代の間には明らかに
ズレが生じていた。
こうした状況で彼は思い切った作戦に出た。新作を次々に発表する普通の劇作家とは違い、
彼は「熱海殺人事件」「幕末純情伝」などの往年のヒット作をもとにした改訂版や
新バージョンを上演する方向に転じたのだ。
それとともに、彼自身の演出と俳優たちの演技のスタイルもほぼ固定化した。つまり、
まるで伝統演劇のように、彼は自分の演劇を様式化し、いわば「古典化」したのだ。
私自身は彼の新作劇をもっと見たいと思ったが、結局、彼は90年代以降の時代の
大半を、旧作の改訂・再編方式で乗り切った。」
そして最後にこう結んでいる。
私も全く同感だ。
「ただし、私が最も強い刺激を受けたのは、70年代に、つか氏が小劇場や中劇場で
演出していたころの、こまやかで、生き生きとしたリアリティーに富む舞台だ。
本人は世を去ったが、新しい演出によって、初期つか演劇の魅力を再発見する
試みをしてほしいと思う。」
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これら白水社の書籍は、仕事で少し関わりました。
我々の時代、一生懸命盗もうとした”つかさん”の演出、舞台美術、音響効果、照明
がテキストになっちゃってんだもの・・・・・。
今、芝居やってる高校生は恵まれてるな。
”つか芝居”の真骨頂の一つは音響効果。
「ザ・ ローズ ( The Rose ) - ベッド・ミドラー ( Bette Midler ) .. 」 が深く心に残る。
合掌。