Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

坂の上の雲  杉野はいずこ!

うちはNHKの映りがもの凄く悪い。田舎だからな〜。

なので「坂の上の雲」はNさんに頼んでブルーレイで録画してもらっている。


今日は第二部(6回〜9回)分をもらった。


NHK スペシャルドラマ 坂の上の雲 第2部 DVD-BOX   NHK スペシャルドラマ 坂の上の雲 第2部 DVD-BOX


第二部のクライマックスは、「広瀬死す!」。


広瀬中佐と言えば、戦前には”軍神”として知らぬ者などない存在で、

東京万世橋駅前に銅像が立ち、文部省唱歌の題材にもなった。

戦後の軍国主義排除の中で、半世紀以上も忘れ去られていたが、

NHKはここに第二部のヤマ場を持ってきた。


 万世橋駅と広瀬中佐、杉野兵曹長の像


広瀬武夫は、豊後国岡藩出身。海軍に入隊し大尉に昇進後、ロシアに留学して

ロシア語を学び、その後ロシア駐在武官となった。ペテルブルグの社交界では

貴族社会と交友し人気者となり、アリアズナとの恋話も事実だそうだ。

帝国海軍きってのロシア通であり、ロシア軍の内部にも沢山の友人がいた。


広瀬は、日露開戦し、旅順口閉塞作戦に出撃する際、彼を兄と慕うロシア海軍

青年将校ポリス(当時、旅順港内の軍艦に乗り込む)宛てに手紙を書いた。



「今度、不幸にもあなたの国と戦うことになった。何ともいいようがないほど

 残念である。しかし、これは国と国との戦いで、あなたに対する個人の友情は

 昔も今も少しも変わらない。いや、こんな境遇にいるからこそ、却って親しみも

 増してくる。平和が回復するまでは、かねて申し上げたように、武人の本懐を

 お互いに守って戦い抜こう。げんに武夫は9日のひるには戦艦「朝日」の

 12インチ砲を指揮して、旅順沖の貴艦隊を熱心に砲撃した。それさえある

 に、今度は貴軍港を閉塞しようと願い、「報国丸」を指揮して、今、その途上に

 ある。さらば、わが親しき友よ、いつまでも健在なれ。」


   ロシヤにおける広瀬武夫 上巻 (朝日選書 57)


第二回閉塞作戦で広瀬率いる福井丸は港口到着の直後、敵の攻撃を受け沈み始めた。

広瀬は、全員にボートでの退艦を命じたが、自沈のための爆薬に点火しようとしていた

杉野兵曹長の姿が見えない。


広瀬は沈みかけている船に戻り、三度船内をくまなく探し回った。

「杉野はいずこ! 杉野は居ずや!」


しかし杉野兵曹長は見つからない。

今はこれまでとボートへ移り、船を離れたその時、敵の砲の直撃を受け、

銅貨大の肉片と血だらけの海図を残して広瀬の姿は消えていた。