この手の書籍は沢山あるが、中に掲載されているレポートの
テーマ設定、切り口が非常に面白かった。
Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2011年 01月号 [雑誌]
面白かった記事は、
①出身軍隊別:元軍人CEOの適性診断
現代のアメリカ軍出身CEOの適性分析を行った結果、出身軍隊別でリーダーシップ・スキル
が異なった、海軍・空軍はプロセス重視(相互依存性を管理する)、陸軍・海兵隊は
柔軟性重視(状況対応型の指揮系統)、イノベーションが重要な業界では海軍・空軍出身者
が活躍している。
②戦艦大和特攻作戦で再現する合理的に失敗する組織
山本七平は、日本軍の意思決定プロセスにおいて、組織全体が集団催眠にでもかかった
ように「得体のしれないもの」に覆われたと分析し、それを「空気」と表現した。
そして、空気による非合理的な意思決定が、日本軍の失敗の本質だと結論づけた。
戦艦大和の沖縄特攻作戦での「空気」による非合理意思決定を見る。
・・・この「空気」は現代の企業内部にも発生し、合理的意思決定を阻害している。
③戦場のリーダーシップ
戦場と言う究極の場面で求められるものは、「現場感覚」「大局観」「総合的判断力」。
それを実際の戦闘で検証する。
硫黄島(栗林中将)、沖縄(牛島中将)、インパール作戦(牟田口中将)、モンゴル撤退
(根本中将)、レイテ沖観戦(栗田中将)、キスカ撤退作戦(木村中将)、そして
この他にも、
・プロフェッショナリズムの暴走(昭和期陸軍の病理)
・情報敗戦(ノモンハン事件「失敗の教訓」)
・航空決戦と「航空機産業」の崩壊 など興味深いレポートがあった。
一緒に平台並べられていた、これらの本も非常に参考になる。
ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)