Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

朱の丸御用船

丸善日本橋店で吉村昭のフェアをやっていた。

大部分が文庫だが、全点が平積みになると壮観だ。

昔、かなり読んでいるが、改めて手に取るとまた読んでみたくなった。



朱の丸御用船 (文春文庫)    朱の丸御用船 (文春文庫)


この話は、志摩国大王崎で起こった”波切騒動”のことを書いている。


天保元年、大王崎の沖で幕府の御用米を積んだ千石船が難破した。

この難破は船頭達による船荷(御用米)横領の偽装難破であった。

船頭達は、紀伊半島の各地で御用米を売りさばき、

残った米ともども船を大王崎沖で難破させ、艀で脱出した。

やがて船頭達は、偽造難破が発覚し幕府に捕えられた。



しかし、売り捌いた御用米の量と積んでいた米の量に大きな差があった。

残りの米は、志摩国波切村の漁民たちが奪い、村ぐるみで隠蔽していた。

その事実は幕府の知るところとなり、村に幕府の役人が派遣される。

様々な偶然が重なり、村人は役人を殺害してしまう。

(この殺害は諸説あり、過失致死とも言われる)


その後、村には幕府と鳥羽藩によって

想像を絶する災厄が襲いかかった・・・。


波切(なきり)村難破船荷物押領