今日は、同僚の父上の告別式で埼玉県加須市まで行く。
そうしている内に、釣り仲間の父上も本日ご逝去された。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
風が涼しい、埼玉県北部の田園風景はすっかり秋空だった。
カーラジオからは高田文夫先生が
「世界陸上の織田裕二、今回テンション低いね。みんな心配してるよ。やっぱりボルトのせいか?」
一昨日にブログで書いた「メロンはどこへ消えた?」を
「にしのこ」さんが、向田邦子のエッセイに上手く例えてくれた。
向田邦子のエッセイ集「父の詫び状」の中の「昔カレー」という章に私の好きな文章があります。
若い時分に、外国の船乗りのはなしを読んだことがある。航海がまだ星の位置や羅針盤に
頼っていた時代のことなのだが、その船乗りは、少年の頃の思い出をよく仲間に話して聞かせた。
「故郷の町の八百屋と魚屋の間に、一軒の小さな店があった。俺はそこで、外国の地図や布やガラス細工をさわって
一日遊んだものさ……。長い航海を終えて船乗りは久しぶりに故郷へ帰り、その店を訪れた。ところが八百屋と
魚屋の間に店はなく、ただ子供が一人腰をおろせるだけの小さい隙間があいていた」、というのである。
あのメロンも、この隙間のようなものだったのかもしれない。
TBSラジオの「爆笑問題の日曜サンデー]」という番組の中に「今カレー」というコーナーがある。
こちらも向田邦子のエッセイ「昔カレー」になぞらえて、食べ物(カレーに限らない)に関する思い出を紹介し、
現在のその食べ物(店)の状況を追跡するというもの。
このコーナーのオープニングは、「昔カレー」(向田邦子)のナレーションだ。
「…出版社に就職して、残業の時にお世話になった日本橋の「たいめい軒」と「紅花」のカレー。
銀座では「三笠会館」、戸川エマ先生にご馳走になった「資生堂」のもおいしかった。
キリのほうでは、バンコクの路上で食べた一杯十八円ナリの、魚の浮き袋の入ったカレーが忘れ難い。…」、
「昔カレー」と「消えたメロン」・・・
なかなか納得してしまった。
そう言えば、誰よりも向田邦子を讃仰している爆笑問題”太田光”の新刊は
「向田邦子の陽射し」だったな・・・
- 作者: 太田 光
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