Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

赤紙と徴兵

この本は少し前に何新聞だったかの書評に取り上げられた。

確か数年前にテレビドラマで見たのを思い出した。

最後の赤紙配達人」(TBS) 2009年8月10日放送


ドラマや映画で見る 赤紙って? 召集令状って?  誰が作成するの? どうゆうシステムなの?

知って驚愕した!

国家と言うものは、かくも恐るべき戦争システムを稼働させるのか・・・。


赤紙と徴兵: 105歳最後の兵事係の証言から

赤紙と徴兵: 105歳最後の兵事係の証言から


本書は、滋賀県東浅井郡大郷村役場で兵事係をしていた西邑仁平さんが

終戦時の資料焼却命令に背いて密かに兵事書類を保管していた。

「兵事資料は、戦史者を出した多くの家族に関わる大事な書類なのです。だからこれを処分して

 しまったら、戦争に征かれた人の労苦や功績が無になってしまう、遺族の方にも申し訳ない」

この貴重な資料から精緻な徴兵システムの全貌が垣間見れる。


一例を見ると

  ・昭和七年二月二日  :第九師団の出動が閣議決定

  ・  同日        :参謀総長から陸軍大臣を経て天皇に上奏。

  ・  同日夕方      :勅命の動員令が発せられる。

  ・  同日夕方     :勅令が第九師団(金沢)に伝達。

  ・  翌日午前三時  :滋賀県東浅井郡大郷村の応召員一人一人に赤紙が届く。 


閣議決定から24時間以内に応召員は、出頭場所、時間の書かれた召集令状を受け取り

その35時間後には招集部隊の兵営の門をくぐらなければならなかった。

そして10日後には銃火の飛び交う戦場に送られた。


これらは膨大かつ緻密な兵事書類(個人情報)の集積に基づいて、用意周到に築かれた

動員・召集システムが、天皇から兵事係まで、正確・迅速に機能した結果だった。


赤紙―男たちはこうして戦場へ送られた

赤紙―男たちはこうして戦場へ送られた


こんな証言がある。

「明けても暮れても在郷軍人名簿の整理と、動員名簿の作成と要員の把握に追われていた」

兵役対象者(在郷軍人)の個人情報(健康状態、居住地、家族構成、職業、特殊技能ほか)を

リアルタイムでメンテナンスしていたのだ。

そして地域ごとの召集人数が決まると、与えられた召集条件を満たす人間を

特集技能や徴集年度(年齢)を参考に氏名を名簿よりピックアップし赤紙を作成する・・・。

本籍地に不在で徴兵検査を受ない人間については、全国の関連警察署に捜査依頼が出され、

徹底的に身元を探しだされる。逃げ隠れは不可能だ。


国家という歯車が動きだすと、誰も止められないのか・・・。

我々は国家が誤った動きを始める前に止めなければ!