Makotsu Garage

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仁義なき日本沈没  1973年の大勝負

この本は面白かった。

日本映画界の「昔」と「今」を隔てる境界線は1973年だと著者は言う。

その年に公開された東映映画は「仁義なき戦い」、東宝は「日本沈没」。


日本沈没 [DVD]

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終戦後の東宝争議から、東映の設立、時代劇戦争、任侠映画

そして映画界斜陽期に繰り広げられた、東映岡田茂”と東宝藤本真澄”の

勝者のないサバイバル戦争・・・。

そこで迎えた1973年。東映深作欣二仁義なき戦い」がスタートし、

東宝は日本映画史上初の配収二十億円を超えた超大作「日本沈没」。


昔から1950年代〜60年代は、日本映画黄金期とは聞いていたが

私の年齢では何がどうだったのか、作品以外では知る由もなかった。

まして、このような日本映画産業史までは・・・。


仁義なき日本沈没―東宝VS.東映の戦後サバイバル (新潮新書)

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この本を読んだら、2011年5月のラジオでの高田文夫先生の話を思いだした。

「昨日さ、銀座プランタンの前を通ったら、黒い服の人間がズらーっと並んでんだよ、

 何なのかなと思ったら、岡田(茂)さんの柩が告別式の後、東映本社の前を通ったんだ。

 全員が一列に並んで最敬礼する光景は、凄かったな。一時代を作った人だからな」



あと、黒澤明椿三十郎」のクライマックスシーンがまた観たくなった。