これは東京都副知事「猪瀬直樹」の処女作。発売当時に読み、えらく興味深かったのを憶えている。
巻末を見ると初版の単行本は1983年3月。
その後、新潮文庫(1987年)、朝日文庫(2000年)と文庫化され、
今回は中公文庫・・・・・
発売時は昭和58年。当時は、一部の関係者を除き、
半世紀以上続く”昭和”の終焉、天皇の代替りなど想像もできなかった。
その時に猪瀬直樹は、昭和の生まれる瞬間を著した。
・大正天皇崩御の朝に繰り広げられた、新聞各社による新元号スクープ合戦の顛末
(最大部数を誇る東京日日新聞のスクープ「新元号は光文」が誤報だった)
・600年間、天皇の柩を担ぐ特権を有してきた八瀬童子の運命は?
特に最澄が使役した鬼の子孫だと言われる”八瀬童子”の存在は非常に興味深かった。
平成になってから24年。昭和の終焉と平成の始まりは、
驚くほど古式にのっとり粛々と行われた。
平成元年(1989年)、昭和天皇の葬送では棺は自動車(轜車)によって運ばれることとなり、
葱華輦は式場内の移送にのみ用いられることとなった。八瀬童子会は旧例の通り八瀬童子に
輿丁を任せるよう宮内庁に要請したが警備上の理由から却下され、
輿丁には50名の皇宮護衛官が古式の装束を着てあたった。
八瀬童子会からは6名の代表者がオブザーバーとして付従した。
新潮45を読んだ懐かしさで、つい購入してしまった。