太平洋戦争のミッドウェイ海戦から70年だそうだ。
雑誌「歴史街道」が第二航空戦隊司令官山口多聞の特集を組んでいる。
タイトルは ”山口多聞「勝つ」ために何をすべきか”
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頻繁に歴史上のIF(イフ)の対象とされるミッドウェイ海戦。
策敵機の発進の遅れ、敵空母発見のタイミングと兵装転換命令など
勝敗は紙一重だった・・・ と紹介されるが、
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
で敗因の根は非常に深い所にあるようだ。
「兵は拙速を尊ぶ」が勝敗を分けた。
敵空母発見に際して、第一航空艦隊司令長官 南雲忠一はじめ幕僚たちは
「基地攻撃ヲ取リヤメ、艦隊攻撃ニ兵装転換セヨ」と命令を発信した。
これはマニュアル通りの模範回答だった。
しかし、攻撃機の装備変更作業(基地攻撃用の爆弾から艦船攻撃用の魚雷に爆装転換)は、
最短でも1時間半を要する。その間、敵は待ってくれない・・・
山口多聞は決断し、司令部に進言した。
「現装備ノママ攻撃隊直チニ発進セシムルヲ至当ト認ム」
空母決戦の本質を知らない南雲司令部はこれを黙殺した。
結果は歴史が物語っている。
装備変更作業中を襲われた日本海軍は、瞬く間に空母三隻を失った。
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唯一無傷だった空母飛龍の山口多聞の真骨頂はここからだ。
通常の序列では先任の阿部弘毅が指揮を引き継ぐはずだが、
それをあえて顧慮せず、航空戦の指揮は自らが最適と判断し
「我、今ヨリ航空戦ノ指揮ヲ執ル」
「全機発進!敵空母ヲ撃滅セントス」 と弔い合戦を決断した。
敵空母ヨークタウンを撃沈し一矢を報いた後、山口多聞は空母飛龍とともに最期を迎えた。
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「兵は拙速を尊ぶ」。戦いの勝敗を分けるのはスピードである。
時間をかけて万全の準備をしても、敵に先制されればすべては水の泡なのだ。
また、「拙速」は時には犠牲を伴う、その犠牲を恐れ、平時のマニュアル通りに
進めて成功できるほど、実戦は甘くない。指揮官には覚悟と責任が問われるのだ。