シャッター通りなどと言われ、衰退の象徴とされる商店街。
それはどういう理由で発明され、繁栄し、衰退していったのか?
郊外型ショッピングモールの乱立だけが、商店街衰退の原因なのか?
本書は、歴史をさかのぼることで商店街の特質と問題の構造を明らかにする、
非常に興味深い1冊だった。
商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書)
- 作者: 新雅史
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/05/17
- メディア: 新書
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出版業界で構造的問題となってる”街の本屋さん”の衰退も同じ事象である。
まずは、本書から商店街の歴史を紐解くと・・・
商店街の誕生は、20世紀になって人為的に創られたものであり、けっして伝統的な存在ではない。
20世紀前半に生じた農民層の減少と都市人口の急増という社会変動は、
都市流入者を「生業」と称される零細自営業者に変えて行った。
なかでも資本をそれほど必要としない(参入障壁の低い)小売業者が急増した。
過当競争の中で多くの小売業者が出店・消滅を繰り返した。そのうちに同業者の間で
業者を制限する動きが出てくる。これにエリアという概念が加わり
商店街という理念が誕生していく。
戦後まもなく、復員軍人、引揚者という労働力が流れ込み、零細小売商が爆発敵に増加した。
繰り返すが、農業、工業、サラリーマン等に比べ、投資額が少なく高度なスキルも必要ないため
参入障壁は低かった。
新規参入者の増加に対し、既存の零細小売商は行政に対して規制・保護を求めていった。
ここから自民党政権の小売商保護施策がはじまった。
(中秋企業団体法、小売商業調整特別措置法、商店街振興組合法・・・)
この後、商店街はこの世の春を謳歌する。しかしその後に待ち構えていたのは、
価格破壊(スーパーマーケット)と消費者運動(生協)だった。
そしてとどめを刺したのはコンビニエンスストア。
商店街の専門店(食料品店、酒屋、青果店、菓子パン屋)がコンビニに業態転換
していき、商店街の内部崩壊させた。家族経営による後継者の不在という点も
崩壊のスピードを加速化させた。
なるほど・・・・
現代にまで至る商店街の栄枯盛衰はよくわかった。
最後に 地域コミュニティーの要となる商店街の再生には、どういう政策が必要なのか?
という質問の肝心の回答は、
読了したのだが、よくわからなかった(まだ頭の中で整理できていない。)・・・