日本人にとって理解が難しい組織が英連邦(コモンウエルズ)だと思う。
英連邦は、イギリスと過去に大英帝国の支配下におかれた国々(自治領、保護領、植民地)が
中心となり、イギリスの君主(エリザベス女王)を「君主」(head)として共有しつつ
自由な連合体としてまとまったもの。最近ではパプアニューギニア、ナミビア、モザンビーク、
ルワンダと一度もイギリスの支配下になったことのない国々も英連邦に加盟している。
中国、韓国はじめ過去の植民地支配、侵略をおこなった相手との対立が今日でも
課題となる日本から見ると、英連邦は??? である。
- 作者: 小川浩之
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/07/09
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英連邦というテーマは珍しく、類書が無いだけに非常に興味深く読んだ。
イギリス国王が君主を兼ね総督を派遣するが、各国には議会があり、責任政府がある。
また、インドをはじめ植民地支配の歴史から、イギリス国王を君主としない共和国も多い。
それら五十四カ国が英連邦に加盟し自由な連合を形成する。
大英帝国の崩壊を英連邦という構造に着地させた「外交上手」な
イギリス人の離れ業なのか・・・。
旧白人自治領(カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ)の存在も、
連邦形成の重要なファクターのようだ。
英連邦という発明の歴史と構造は理解できたが、根本的な疑問
”イギリスの旧植民地の国々が英連邦を構成し続けているのはなぜですか?
独立したら旧宗主国との関係を絶ちたいと思うのが普通なのではないですか?”
については、読了してもまだ整理できていない。