著者”三原康博”は、東京芸大を卒業後TBSに入社。美術デザイナーとして
「ザ・ベストテン」、「サウンド・イン”S”」、「日本レコード大賞」等の
音楽番組の美術を手掛ける。優れたテレビ美術デザインに送られる
「伊藤熹朔賞」を二度にわたり受賞しているテレビ美術の第一人者。
- 作者: 三原康博,テレビ美術研究会
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2012/11/28
- メディア: 単行本
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それまでコモン・ミュージックの主な発信源は、深夜ラジオだったものを、
「ザ・ベストテン」はテレビからのビジュアルイメージととに発信する。
つまり「音楽を見る」ということを実践したのだ。
その為に、毎週新しい美術セットが数曲単位で作られた。
同じ曲でも決してセットの使い回しはしなかった。
その結果、楽曲の解釈が回を追うごとに深まり、会心のセットが生まれた。
本書の中に収録されている歌手の美術セットは素晴らしいの一言。
まさに「音楽を絵にする仕事」である。
もう一つ美術セットがこだわったのがランキング。
「ザ・ベストテン」以前の音楽番組は、同じ事務所の歌手が一緒に出演すれこそ
違う事務所の歌手の共演は暗黙のNGだった。(映画の五社協定のようなもの?)
しかしベストテンはあくまでランキングによる歌手の出演に拘った。
それを体現するものが、あの有名な”ランキングボード”だった。
今、本書を読んでから当時のベストテンの映像を見ると
確かに各々の曲がもの凄くこだわった美術セットなのに気付く。
しかし、中高生の時にあれだけ見た「ザ・ベストテン」の記憶では、
美術セットの記憶が全くない。
あくまで主は音楽なのが、美術セットの本懐なのだろうか・・・