現代の基地問題と異なる視点で、基地の歴史的背景を語る。
なかなか興味深い1冊。
日清戦争、日露戦争を迎えるにあたり、国内では常備師団を増設する、
軍備拡張が行われた。それに対し”わが町に軍隊を!”という
全国の市や町による誘致合戦が繰り広げられた。
目的は「地域振興の切り札」としての軍隊誘致。
軍隊を誘致せよ: 陸海軍と都市形成 (歴史文化ライブラリー)
- 作者: 松下孝昭
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2013/11/20
- メディア: 単行本
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陸軍の歩兵連隊は、約2000人、師団規模になると約9000人。
部隊の駐屯地に成功すればそれだけの人口が増える。
特に食糧・被服の調達や備品・消耗品の納入、軍馬の飼料の確保など
莫大な消費人口が増加し、地元商業界に多大な需要をもたらす。
また、鉄道、水道、商店街、遊郭という都市インフラの整備が加速する。
当時の市町村は県、政治家も巻き込んで、熱烈な誘致合戦が繰り広げた。
陸軍省への陳情そして軍用地の献納まで・・・
民間では、あの手この手で候補地を探り、土地の買い占めに走り
地価を高騰させた。
こうして見ると、利権誘導に関しては、
昔も今もまったく変わらないね。
軍隊の駐屯地が、原子力発電所やダムになっただけのようだ・・・