Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

第53回全出版人大会

全出版人大会というものに初めて出席した。

会場はホテルニューオータニ。出席者は約500名。

「全出版人大会」という名前といい、「大会声明朗読」といい、

いささかプロレタリアートな臭いがする。

今回、小生は永年勤続表彰の栄誉にあずからせて頂いた。



大会冒頭の大会声明が非常に崇高なものでした。

美しい国を守るという大義のために、多くの若者が人として生きる有為な未来を捨て、

死して神になることを強いられた戦争から七十年近く、私たち日本人はかって無いほどの

平和と繁栄を享受してきました。この時代を支えた理念的制度的枠組みが

民主主義にほかなりません。

民主主義の本質は集団の思想的多様性を確保することにあり、私たち出版人の仕事は

この枠組みに守られながら、結果として枠組み自体をより強固なものにするという

相互補完的な関係を維持してきました。


 中略

残念なことに、民主主義は自ら厳しく律しなければどこまでも無秩序に堕して

衆愚状態に陥る危険性をつねに孕んでいます。その結果生まれる混乱が政策的な

規制や統制の導入につながり、自由な意見や思想の表現を制限しようとする動きを

招くことが何よりも危惧されます。

衆愚化の流れに迎合して営利目的の消費材生産に走ることなく

文化的意義のある出版活動を持続することが、私たちの意見表明を

説得力のあるものとするために不可欠です。

本日はそのことをともに確認することで大会声明を結びたいと思います。


二十数年前、大学を卒業する時、芝居を続けていたかった。

一年間留年して就職を迷い続けた。結果的に芝居を続ける勇気はなかった。

とはいえ、志を持って出版の世界に入ってきたつもりだ。


くじけそうな事ばかりだったように思う。

上司、同期、後輩、友人、家族に助けられ続け、

なんとか辞めずに続けてこられた。 

そして出版人として永年勤続表彰の栄誉を頂くことができた。

本当に”感謝”という言葉が陳腐すぎるほど、

感謝の気持ちでいっぱいだ。



もともと本好きだった小生が

出版を志すひとつのきっかけになったのは

この本のタイトルだった。

売れば文化は従いてくる 出版12社の戦略と商魂」塩沢実信日本経済評論社) 1985年10月


このタイトルの明快さに魅かれた。

(別に出版人大会宣言へのアンチテーゼではないです)