4月の昇太さん独演会「オレスタイル」の
開口一番をつとめた立川笑志さんの著書「ひとりブタ」
を読んでいる。笑志さんは入門20年目で真打に昇進した。
長い修業時代(前座、二つ目)、師匠の言うことが
いかに理不尽でも弟子は師匠に逆らえない。
その師匠を選んだのは自分なのだから。
- 作者: 立川生志
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2013/12/11
- メディア: 単行本
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こんな場面があった。
「う〜ん、ちょっと違うんだ」としか言わない。
そして「こうやって演るんだ」と演じて見せてくれた。その回数4度!
家元が前座に4度も演じてくれること自体、かなり特別なことだ。
ある日、「狸の札」を演じ終えると「それでいい」と言われた。
なぜ良かったのか全然わからないまま一年ほど経ったある日、
後輩の「狸の札」を見ていてわかった。
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- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 2013/11/20
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所作にとらわれすぎて、噺全体のリズムが壊れているのだ。
それならば最初から「台詞と所作が狂っている」と言葉で
教えてくれても良かったはずだ。しかし、わざわざ前座のまえで
四度も演じてくれた。
つまり、理屈でわからせようとしてもダメ、アタマで分かろうと
しないで、身体で覚えろということを家元は根気よく教えてくれたのだ。
全く同じ記憶がある数年前、合気道的な道場に通っていた時のことだ。
稽古ではとにかく叱られて叱られて注意された。まるで全人格を否定されるような叱られ方だった。
たまに「よし、その感覚を覚えろ」と言われても何が良かったのか全く分からない。
何故、詳しく教えてくれないのか?
フラストレーションだけが溜まった・・・
いま本書を読んで理解できた。
先生は「アタマで分かろうとしないで、身体で覚えろ」と言っていたのだ。
サラリーマン生活20年、アタマで分かることに慣れすぎてしまったようだ。