Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

張り込み日記 渡部雄吉写真集

本日の朝日新聞書評欄で一番注目したのが

この写真集。映画のワンシーンと見違うばかりの

圧倒的迫力ある写真に目が釘付けとなった。


張り込み日記

張り込み日記


本書は、写真家 渡部雄吉が、昭和33年(1958年)に茨城県水戸で発生した

バラバラ殺人事件の捜査にあたる刑事に密着し、撮影したシリーズ作品。

警視庁捜査1課の刑事と、事件発生現場を管轄する茨城県警から

派遣された若い刑事。

戦後の空気が色濃く残る昭和の町並みを背景に、ハンチング帽を被り

ロングコートを羽織って張り込み・聞き込みをする姿は、

まさに黒澤明の「野犬」「天国と地獄」であり、松本清張「点と線」

ワンシーンのような迫力。


写真はリンク先を参照。


こちらはフランス版。


Watabe Yukichi: A Criminal Investigation

Watabe Yukichi: A Criminal Investigation


この作品の誕生も大変興味深い。

「張り込み日記」は、撮影された年に雑誌で発表されましたが、

それ以降、大きく取り上げられる機会はなく、まさに知る人ぞ知るといった作品でした。

2006年にイギリスの古書のディーラーが、神保町で120枚にものぼるこの作品の

プリントを発見したことを切っ掛けとし、2011年にフランスから写真集が発売され、

世界中で評判になりました