Makotsu Garage

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落語 師匠噺

森田芳光監督の劇場映画デビュー作は、「の・ようなもの」。

若手落語家(二ツ目)を主人公にした青春群像映画だ。


落語家の師弟関係(師匠と弟子)の関係は大変不思議な関係だ。

師匠は弟子に落語の稽古をつけない。もっぱら落語を教えるのは

一門の兄弟子であり他の一門の師匠だ。


しかし、他人まかせで師匠がほとんど手をかけない弟子の芸が、

結構師匠の芸に似ていたりするから不思議だ。

柳家三三が師匠の柳家小三治から直接アドバイスを受けたのは

「道灌」の冒頭のみ。ところが三三の高座でのたたずまい、

まくら、言い立ては小三治を彷彿させる。


落語 師匠噺 (講談社+α文庫)

落語 師匠噺 (講談社+α文庫)

春風亭小朝は言う。

「つまりそれは、師匠の芸よりも主義(イズム)や、物の見方を

 継承しているからなんです」

本書では人気落語家の師弟関係を紹介する。その師弟の名を聞けば、

落語マニアが飛びつくこと間違いない。なかには突然変異としか

思えない弟子もいるから・・・(笑)


 ・春風亭柳昇春風亭昇太

 ・柳家小さん柳亭市馬

 ・三遊亭圓丈三遊亭白鳥

 ・柳家さん喬柳家喬太郎

 ・林家こん平林家たい平

 ・春風亭小柳枝、春風亭柳昇瀧川鯉昇

 ・林家木久蔵(木久翁)と林家彦いち

 ・柳家小三治柳家喜多八

 ・立川談志立川志の輔


その師弟関係は十人十色、実に面白い。

習い事の師弟関係でも、親子関係でも、上司部下の関係でもない

落語家の師弟関係は「の・ようなもの」

という言葉が一番しっくりするようだ。