Makotsu Garage

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日本のいちばん長い日

映画「日本のいちばん長い日」

英題:THE EMPEROR IN AUGUST

早速観に行ってきた。



ストーリーはご存知のとおり

御前会議で降伏を決定した1945年(昭和20年)8月14日の正午から

宮城事件(降伏に反対する一部の陸軍将校が皇居を一時占拠した

クーデター未遂事件)、そして国民に対して玉音放送を通じて

ポツダム宣言の受諾を知らせる8月15日正午までの24時間を描く。


映画としては、1967年(戦後22年目)に公開された

「日本のいちばん長い日」(大宅壮一原作、岡本喜八監督、

出演:三船敏郎笠智衆黒沢年雄 他)のリメイクにあたる。



前作との比較も観るうえでの重要なポイント。

一番の違いは昭和天皇の存在。今回の作品は

昭和天皇鈴木貫太郎首相、阿南陸軍大臣

物語と言っても過言ではない。

(前作は鈴木首相、阿南陸相、反乱将校が

 中心の物語だったように記憶する)


映画の英題:THE EMPEROR IN AUGUST

表されているように昭和天皇の存在感によって

物語が枠組み明瞭になり、非常に見応えのある作品になっている。


戦後22年目、昭和天皇ご存命中の前作では

ここまで描くごとは不可能だったと思う。

これは戦後70年目の今年だからこそ描けたものだ。



物語も明瞭、個々の描写、再現性に関しても

史実に忠実で、非常に観やすい作品だ。

戦後70年の節目に、終戦前夜に何があったのかを

我々は後世に伝えなければならない。


しかし、忘れてはいけないのは、

これは終戦の為に尽力した人々の物語であって、

そもそも開戦し、戦争指導をし国民に甚大な犠牲を

強いた人々の責任は全く描かれていないということだ。 


決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)

決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)


原作者の半藤一利さんはこう語っている

戦争は始めるのは簡単だけど、終わりにするのは大変。この一言に尽きます。

あの時はたまたま昭和天皇という冷静な人がいて、鈴木貫太郎首相、

阿南惟(これ)幾(ちか)陸軍大臣といういい役者がそろっていた。

それで初めて終戦があり得たわけで、普通は、こううまくはいかない。

だから戦争というのは、単純にけしからんからやっちゃえ、で始めるもんじゃないんだよ