Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

舞台中継「出発」(1978年:東京12ch)

先日の「つかこいへい正伝」イベントで
上映された秘蔵映像には本当に驚いた!


ネットで調べてもヒットしないので
詳細は不明だが、1978年に六本木俳優座劇場で上演した
「出発」をテレビ用に演出を修正し公演直前に放送したもの。

サントリー1社提供で昼間に放送されたらいい。


愛人刑事/出発

愛人刑事/出発


キャストは加藤、風間、平田、井上、高野
そして田中邦衛ほか俳優座の面々が出演。
岩間多佳子さんも役者で出演してた。



オープニングは白塗り顔の高野さんが
あの勢いで”いつもの予告編”

つか芝居には珍しく舞台には茶の間のセットがある。
加藤健一の登場は茶の間の壁が割れて大きな船が登場。
その穂先で三波春夫ばりの着物姿で歌を唸る。
長谷川さん曰く「このシーンは毎回全くウケなかった」



テレビ用の演出はあらゆるところに仕掛けられており
非常に興味深く面白い。さすが”つかさんだな〜”
(スポンサーへの気配りは天下一品)


意地悪ばあさん風の平田満が登場し、岩間さん
 との芝居の中でサントリーの商品名を説明する。
 (リザーブ、オールド、VSOP、純生、トリス・・・)


・嫁役の井上加奈子が妊娠を告げたところで、絶句する
 風間杜夫がカメラに向かい「コマーシャル行ってみよう!」
 と叫んでCMが入る。


・出番を終え袖にはけた加藤健一を移動カメラが追い楽屋へ
 楽屋はサントリーホワイトのビンで埋め尽くされて、高野さんが
 「お疲れさま」と酒を注いで、「うまい!」と二人で盛り上がるなど、


・独白の長台詞を終えて奈落にはけてきた田中邦衛を、
 カメラが待ち構えており、奈落で平田満と煙草を一服つける。
 そこで芝居の出来を淡々と振り返る。最後に田中自身が、
 「父親ってのは、寂しく、哀しいもんだ」と芝居のテーマを語る。



まさに目からウロコ。
テレビの可能性ってまだまだあるんだなー と感心する。


これ以降、つかこうへい事務所と東京12チャンネル
[ディレクター]不破敏之の付き合は続き、
1982年大晦日特番『つか版・忠臣蔵』(テレビ東京)に繋がった。