Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

「Good-Bye Wave」

最近、FBで感動した話。
以下、「空の上で本当にあった心温まる物語」
からの引用です。


「出発前の飛行機に手を振る 
 ライン整備士の姿に憧れて・・・」 


と言って入社してくる 整備士は少なくありません。


今でこそ整備士が手を振りながら
お客様を見送る光景は 当たり前となっていますが
もともとは、一人のANA整備士の 「お客様への想い」
からであったことをご存じでしょうか。

それはまだB(ボーイング)737型機が飛び始めた
(1973年)頃のお話です。


空の上で本当にあった心温まる物語 (心温まる物語シリーズ)

空の上で本当にあった心温まる物語 (心温まる物語シリーズ)

 
 
この頃、ライン整備士(飛行機が到着し次に
出発する間に必要なチェックをして 飛行機の安全を
確認し承認する人)は飛行機が自走するとすぐに事務所に
戻ってしまうことがほとんどでした。

たまに、運行乗務員(パイロット)に 「いってらっしゃい」
と手を振って見送る人もいたようですが、出発する飛行機に
対して手を振っている整備士はいませんでした。
 

そんなある日のこと。
 

沖縄空港支店整備課に配属されたK君は先輩整備士Mさんが
いつも出発する飛行機に向かって最後まで手を振っている
ことに気づきました。そこで、Mさんは

「どうしていつも出発する飛行機に手を振っているんですか?」

と聞いたのです。

するとMさんは次のように答えました。

「おう。あれか。あれはな、俺、もともと沖縄の出身なんだよ。
 だから、お客様がこんな遠い沖縄まで高いお金を出して
 青い海と輝く太陽を楽しみに来てくれてありがたいなって
 思うし真っ黒に日焼けして帰っていく姿を見ると
 『よかったですね来たかいがありましたね』
 って思ってうれしくなる。


 反対に、台風や雨の日が続いてしまって真っ白い肌のまま帰っていく
 お客様を見ると申し訳なくて『ぜひもう一度、すばらしい沖縄を
 見に来てください』って、思う。


  だから、楽しく過ごしてくださった方はもちろん、残念な思いをした方にも
 沖縄に行ってよかったねって楽しい思いでになったねって思って欲しくて
 その気持ちを伝えたくて手を振っているんだ。時々機内のお客様が
手を振り返してくれるのが見えるとすごくうれしいんだよな。


 俺たちが整備した飛行機に乗っているお客様から手を振ってもらえるなんて
 幸せなことだと思わないかい?」

 

 Mさんの話に感動したK君はこの時以来、Mさんと同じ気持ちで
 手を振って見送るようになりました。
 その後、このお見送りは沖縄空港支店整備課にとどまらず
 どんどん広まっていきました。


そしていつしか「Good-Bye Wave」と呼ばれるようになり世界中の空港で
当たり前の光景となったのです。



実は、この「Good-Bye Wave」規定やマニュアルには一切定められていません。
よく見てみるとわかりますが整備士たちの手の振り方は それぞれ違います。
でも、お客様のことを思う気持ちは皆同じ。


「この旅を、安全に楽しく過ごしてほしい。いってらっしゃい」

そんな想いを込めて今日もまた、整備士たちは手を振っているのです。

炎天下の日も、寒い冬の日もたとえ台風の日であっても
姿勢を正して、手を振り続ける整備士たち。


私たち客室乗務員(CA)もその姿を窓から見ています。

「私たちが心を込めて整備した飛行機です。どうぞ安心して乗務してください。
 そして、私たちの分までお客様が快適に過ごせるようサービスしてください。
 私たちの想いは託しましたよ」
そんな、彼らの熱い声がいつも聴こえてきます。
その安心感と励ましに「今日も頑張ろう」と思うのです。


実は、手を振っているのは整備士だけではありません。
機内の清掃を担当している係員たちが一列になってお見送りをしている
空港もあります。


今でこそ日常の何気ない光景なのですが毎回、手を振る姿に胸が熱くなります。
「ありがとうございます。行ってまいります。私たちにお任せください」
手を振り返しながらしっかりバトンを受け取り私たち乗務員は飛び立ちます。