Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

志の輔らくご 牡丹灯籠 2016

志の輔師匠が2006年より毎年夏の恒例としている

「牡丹灯籠」を初体験してきた。

度肝を抜かれたという感想がぴったりだった。

やはり”志の輔らくご”は、”落語”という範疇を

軽々と超越していた。



三遊亭圓朝が明治期に創った大長編「牡丹灯籠」。

我々の記憶では、「カランコロンと下駄の音とともに

幽霊が灯篭を持ってあらわれる・・・・」

という場面しか浮かばないが、圓朝が演じた初演は、

毎日2時間で計15日間。つまり上演に30時間を要する

大長編落語だった。



志の輔さんの「牡丹灯籠」は、一部二部構成。

一部は、「牡丹灯籠」の登場人物を相関図を

使って説明。まるで「ためしてガッテン」のように。

(「牡丹灯籠」も「大忠臣蔵中村仲蔵」方式

 だったか・・・ これは全く予測していなかった

 だけに面食らった。)




そして二部で落語「牡丹灯籠」の本編をたっぷり。


はじめて「牡丹灯籠」の全貌を知った。

非常に多くの登場人物が、複雑に錯綜した

人間関係のもとで物語が進行する。

その錯綜した伏線がラストに向けて
紡がれていく。うーん見事だ。


この大長編落語を創った三遊亭圓朝という
落語家いや劇作家に度肝を抜かれた。
聞けば、園朝はシェイクスピアと並び
表されることが多い人物なのだそうだ。

三遊亭圓朝・・・
一体何者なんだ?



圓朝ワールドの凄さをお客さんに伝える

 方法はないか?」

志の輔師匠が悩みに悩んだ結論が、この

志の輔らくご 牡丹灯籠」という形式だった。 

それは”座布団に座って上下(かみしも)を
きって話すという”落語のイメージ”を超越
したエンターテインメントである。


よく考えてみれば、すでに明治期に圓朝師匠が
”落語”という範疇を超越した作品を世に
送り出してきた。
今、志の輔師匠もそれに近いことを目の前で
実演してくれている。
なんと幸せなことよ。


しかし、物語は来年もう一度見ないと
理解できないな・・・
まずは、岩波文庫を読もうっと。


怪談 牡丹燈籠 (岩波文庫)

怪談 牡丹燈籠 (岩波文庫)


もう一つ追加。
エンディングが圧巻だった。
憂歌団の「胸が痛い」が流れ、
舞台上に上から登場人物の
相関関係図が下りてくる。

こんなんありか・・・!
シブすぎるぞ。