Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

これやこの サンキュータツオ随筆集

永六輔さんはこんなことを言ってました。

人間は二度死にます。

 一度目は、その肉体が生命を終えた時。

 二度目は、その方のことを覚えてる人が

 一人もいなくなった時。

  

本書はサンキュータツオが、自らがキュレーターを務める

渋谷らくご」を通じて柳家喜多八師匠(2016年5月逝去 享年66歳)

 立川左談治師匠(2018年3月逝去 享年67歳)と歩んだ最期の日々を

綴る随筆集。※後半は様々な「別れ(死)」を綴った短編を収録。

 

私も両師匠の高座は何度か見てるので、哀しい思いが先にたち、購入後に

読み始めるまでかなり時間を要した。読了したがやはり哀しかった。

寂しかった。あの時はそうゆうことだったのか・・と

新たな発見も沢山あった。

 

サンキュータツオは、本のオビにこう書いている。

記憶を語り継ぐことだけが、師匠たちを死なせない唯一の方法だ」 

 まさに永六輔さんの言っている事そのままだ。

 私も読了してよかったと思えた。

 

f:id:Makotsu:20130628122045j:plain

 

タイトルの「これやこの」は、喜多八師匠が亡くなった際に

左談治師匠がTwitterに書いた百人一首蝉丸」の句からとっている。

 

これやこの行くも帰るも別れては しるもしらぬも逢坂の関

 (※知っている人も知らない人も会っては別れ、別れたまた会う

  という逢坂の関はまさに人生縮図のようだ)

 

f:id:Makotsu:20200808212402j:plain

 

喜多八師匠の章を読んでいて驚いた!。

TBSラジオ「問わず語りの神田伯山」でお馴染みの

笑い屋「シゲフジ」(上記写真 右側)が登場するではないか! 

彼は早稲田の学生でありながら、喜多八師匠のかばん持ちのようなことを

やっており、晩年の師匠にとって「シゲフジ」は大きな存在だったようだ。

知らなかったな~。