永六輔さんはこんなことを言ってました。
人間は二度死にます。
一度目は、その肉体が生命を終えた時。
二度目は、その方のことを覚えてる人が
一人もいなくなった時。
本書はサンキュータツオが、自らがキュレーターを務める
「渋谷らくご」を通じて柳家喜多八師匠(2016年5月逝去 享年66歳)
と 立川左談治師匠(2018年3月逝去 享年67歳)と歩んだ最期の日々を
綴る随筆集。※後半は様々な「別れ(死)」を綴った短編を収録。
私も両師匠の高座は何度か見てるので、哀しい思いが先にたち、購入後に
読み始めるまでかなり時間を要した。読了したがやはり哀しかった。
寂しかった。あの時はそうゆうことだったのか・・と
新たな発見も沢山あった。
サンキュータツオは、本のオビにこう書いている。
「記憶を語り継ぐことだけが、師匠たちを死なせない唯一の方法だ」
まさに永六輔さんの言っている事そのままだ。
私も読了してよかったと思えた。
タイトルの「これやこの」は、喜多八師匠が亡くなった際に
左談治師匠がTwitterに書いた百人一首「蝉丸」の句からとっている。
「これやこの行くも帰るも別れては しるもしらぬも逢坂の関」
(※知っている人も知らない人も会っては別れ、別れたまた会う
という逢坂の関はまさに人生縮図のようだ)
喜多八師匠の章を読んでいて驚いた!。
TBSラジオ「問わず語りの神田伯山」でお馴染みの
笑い屋「シゲフジ」(上記写真 右側)が登場するではないか!
彼は早稲田の学生でありながら、喜多八師匠のかばん持ちのようなことを
やっており、晩年の師匠にとって「シゲフジ」は大きな存在だったようだ。
知らなかったな~。