クリスマスイブに書くネタでもないが、駅そばベスト10の
第1位が音威子府駅だったので、思い出したことを忘れないうちに
間にある宗谷本線の駅。
大学時代、私はこの駅で悍ましい体験をしたのだった。
この年に大学に入学した私は、芝居サークルの巡回公演に参加し
旅から戻ると中学の同級生S君が「小樽にIS君を訪ね、その足で
北海道を一周するんだけど行かないか?」と誘ってきた。
「大学が始まるのは9月下旬だから大丈夫だな」と二つ返事でOKした。
IS君は中学の同級生で当時小樽商科大学に通っていた。
旅費は「北海道ワイド周遊券」という新幹線以外の国鉄(当時)が
乗り放題の切符。宿はIS君の下宿と夜行列車の車内、駅の待合室・・・
今思えば「世界の果てまでイッテQ」ばりの過酷な旅だったが、
初めて見る北海道の大自然、気ままな旅、若さ、高揚感から
疲れや辛さを全く感じなかった。
その日は道北の浜頓別というオホーツク海に面した港町にいた。
札幌に戻る・・・はずだった。
浜頓別駅17:48発 稚内行きの車内でS君、IS君、私の3人は
出発を待っていた。突然私は便意をもよおした・・・車内のトイレは
使用中。腕時計を見ると発車まで5分ある。「オレ、ちょっとホームの
トイレまで行ってくるわ」と言って列車を離れた。
トイレの個室に駆け込んだ時に、列車の警笛が鳴った。
「?ん・・?」嫌な予感がした・・
慌ててトイレを出ると列車がはるか彼方を遠ざかっていく。
「しまった。乗り遅れた!」腕時計は3分遅れていた。
まだこの時は焦りもなく冷静だった。
「次の列車で追いかければいいや」
駅舎に向い駅員さんに相談するうちに血の気が引いてきた。
「次の列車では、乗る予定の稚内発札幌行きの夜行急行
【利尻】に間に合わない・・・!!!」
当初の予定では
・浜頓別発 17:48 → 稚内着 19:55
・稚内発 21:43 → 札幌着 5:55 夜行急行「利尻」 だったが
17:48発に乗り遅れたので、次の列車は2時間半後になってしまう。
・浜頓部発 20:08 → 稚内着 21:55
これでは「利尻」の出発時間に間に合わない!
ヤバい! どうすればいんだ・・・
荷物は全部列車の中。あるのはウエストバックのみ。
幸い切符と財布と文庫本1冊は入っていた。
駅員に泣きついた。「どうしたらいいんでしょう?」
親切な駅員さんは相談に乗ってくれリカバリー方法を考えてくれた。
さて駅員さんが考えてくれたリカバリー方法は?
「1982年の音威子府 その二」に続く。
浜頓別駅:トイレに入っている間に列車に乗り遅れた。