Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

1982年の音威子府 その一

クリスマスイブに書くネタでもないが、駅そばベスト10の

第1位が音威子府駅だったので、思い出したことを忘れないうちに

書き留めておこう。音威子府駅は北海道の北の方、旭川稚内

間にある宗谷本線の駅。

大学時代、私はこの駅で悍ましい体験をしたのだった。

 

1982年の音威子府」・・北の国からのタイトルみたいだ。

 

この年に大学に入学した私は、芝居サークルの巡回公演に参加し

8月後半の2週間は旅に出ていた。行先は岩手県水沢周辺。

旅から戻ると中学の同級生S君が「小樽にIS君を訪ね、その足で

北海道を一周するんだけど行かないか?」と誘ってきた。

「大学が始まるのは9月下旬だから大丈夫だな」と二つ返事でOKした。

 

 IS君は中学の同級生で当時小樽商科大学に通っていた。

旅費は「北海道ワイド周遊券」という新幹線以外の国鉄(当時)が

乗り放題の切符。宿はIS君の下宿と夜行列車の車内、駅の待合室・・・

今思えば「世界の果てまでイッテQ」ばりの過酷な旅だったが、

初めて見る北海道の大自然、気ままな旅、若さ、高揚感から

疲れや辛さを全く感じなかった。

 

その日は道北の浜頓別というオホーツク海に面した港町にいた。

予定では浜頓別から稚内に戻り、稚内発札幌行きの夜行列車で

札幌に戻る・・・はずだった。

 

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浜頓別駅17:48発 稚内行きの車内でS君、IS君、私の3人は

出発を待っていた。突然私は便意をもよおした・・・車内のトイレは

使用中。腕時計を見ると発車まで5分ある。「オレ、ちょっとホームの

トイレまで行ってくるわ」と言って列車を離れた。

 

トイレの個室に駆け込んだ時に、列車の警笛が鳴った。

「?ん・・?」嫌な予感がした・・ 

慌ててトイレを出ると列車がはるか彼方を遠ざかっていく。

「しまった。乗り遅れた!」腕時計は3分遅れていた。

 

まだこの時は焦りもなく冷静だった。

「次の列車で追いかければいいや」

駅舎に向い駅員さんに相談するうちに血の気が引いてきた。

「次の列車では、乗る予定の稚内発札幌行きの夜行急行

 【利尻】に間に合わない・・・!!!」

 

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当初の予定では
・浜頓別発 17:48 → 稚内着 19:55

稚内発  21:43 → 札幌着   5:55   夜行急行「利尻」 だったが

 

17:48発に乗り遅れたので、次の列車は2時間半後になってしまう。

・浜頓部発 20:08 → 稚内着 21:55

これでは「利尻」の出発時間に間に合わない!

 

ヤバい! どうすればいんだ・・・

 

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荷物は全部列車の中。あるのはウエストバックのみ。

幸い切符と財布と文庫本1冊は入っていた。

 

駅員に泣きついた。「どうしたらいいんでしょう?」 

親切な駅員さんは相談に乗ってくれリカバリー方法を考えてくれた。

 

さて駅員さんが考えてくれたリカバリー方法は?

1982年の音威子府 その二」に続く。

 

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浜頓別駅:トイレに入っている間に列車に乗り遅れた。