2年振りの 志の輔らくご「牡丹灯籠」
やはり傑作だ!
毎年夏に本多劇場で聞いてた演目が、昨年はコロナ禍で中止となった。
その2年分の想いが 、聞く我々にも籠っていたはずだ。
いつになく充実できた2時間50分の「牡丹灯籠」だった。
今回は仕事帰りではなかったので、私のコンディションも良く、
脳ミソをフル回転させながら、「三遊亭圓朝ワールド」を堪能した。
明治期、作者の三遊亭圓朝は、1日2時間、15日間連続約30時間をかけて
「牡丹灯籠」を上演した。現代では30時間近い上演は不可能なので、
場面場面が一つの噺として上演されている。
(「お露新三郎」「お札はがし」「栗橋宿/お峰殺し」「関口屋のゆすり」等)
志の輔さんは、その約30時間を一日(2時間30分)で聞かせる方法を模索した。
そして完成したのが「志の輔らくご 牡丹灯篭」。2003年から昨年を除き、
毎年夏の恒例として上演している。
「怪談 牡丹灯籠」(三遊亭圓朝作)を読み直してみて驚いた。
志の輔さんは
主な登場人物を網羅し、すべての物語を語っていた。
それもたった2時間30分で。
これはただの落語家の仕事ではない。演じ手でありながら、
作家であり、演出家であり、舞台監督であり、プロヂューサーの仕事なのだ。
それをやってしまう(出来てしまう)のが、志の輔さんの才能・魅力であり。
「志の輔らくご」の真骨頂だ。
本多劇場は、本当に見やすい劇場だ。
どの席からも演じ手の臨場感がビンビン伝わってくる。
都合2時間50分。「牡丹灯籠ワールド」に浸り込んだ。
今回は冷静に、志の輔さんが物語のどの部分をチョイスし
全体を構成させているかまで、考えを 巡らせながら楽しむが出来た。
そして物語を語り終えて、暗転。
観客が余韻に浸る中で「胸が痛い」(憂歌団)が流れてくる。
「恐ろしくも、悲しく切ない」牡丹灯籠の物語に相応しいバラードだ。
選曲のセンスも抜群なのだ。志の輔師匠は・・・