前職のトーハンが開設したYouTubeチャンネル「出版区」が
なかなか面白い。出版区の「しゅっぱんく」はパンクからいるらしく
反体制、アバンギャルド等、既成のイメージからの脱却を目指すそうだ。
とは言え、テーマが出版、本、書店なのでそこは「ほのぼの」感が漂う。
「誰でも漫画家に・・」
「次に来るマンガ大賞・・」
「ランキング動画」(どの「‥本」が一番売れた?)
「ほんやさんぽ」
「行ってみたシリーズ」 等々、様々な題材がアップされている。
どのテーマもディープなユーザーが存在し、バズる可能性が高いので、
今後の展開を期待せずにはいられない。
そんな中、面白い動画がアップされていた。
題して「本屋ができるまで」。
商品(本)の搬入から、開荷、仕分け分類、棚詰め、完成・・
をドキュメンタリー風に追った動画。書棚が埋まっていく
情景が定点カメラで追っているのが新鮮だ。
この動画で想い出したのが、トーハン勤務時代の開店応援。
書店の開店は、本を棚に積めるという人海戦術の肉体労働。
その為、多数の人員が必要になる。取引先書店の開店準備には取次から
も応援に入る。大きな書店になると担当営業部門だけでは人員が足りず、
他部署からも応援出張に入る。特に若手時代は頻繁に駆り出させる。
私は30数年のトーハン勤務時代に約30軒ぐらいの開店応援に行った。
携わった書店は、紀伊國屋書店、丸善、三省堂、旭屋書店、文教堂、くまざわ書店
未来屋書店、TSUTAYA、大学生協 等々、いろいろな開店に立ち会った。
場所も関東一円から、新潟、富山、秋田まで様々。徹夜作業もあった。
悲しいもので取次の応援者が行うのは、粗詰めと言う、ダンボールを開荷し、
本を分類して該当の棚に運び、大まかに詰める作業まで。
その後に書店の方が、微調整と言う単品銘柄ごとに棚の商品を調整し、平積み
商品を並べ替える。これで書店の個性が棚に息吹を吹き込む。
私はいつも文庫かコミックの棚を選んで作業をしていた。
出版社別、著者別などあまり頭を悩ませることなく棚詰めができるからだ。
腰の悪い今では、とてもこんな肉体労働できない。
毎回、本の重さを痛感する「開店応援」だった。
この動画、そんなツラい(?)想い出を彷彿させてくれた。