この青春群像劇は、ある意味
「坂の上の雲」なんだな。
渋沢栄一・・・改めて知るとなかなかに豪快だ。
としてパリ駐在。明治政府出仕、殖産興業、下野、数多の
民間企業を設立・・・。
世代的には「坂の上の雲」の主人公(秋山好古・真之、正岡子規)
よりも一世代上で、戊辰の戦火を搔い潜り混沌の中から仕組みを
創ってきた世代だけに、その生き様は一回り豪快だ。
「晴天を衝け 明治篇」の登場人物は、みな豪快でイケイケだ。
それが「明治人Ver 1.0」の生き様なのであろう。
見ていて実に痛快である。
(※坂の上の雲の主人公たちは「明治人Ver 2.0」)
私はこの時代が大好きだ。
高校時代に「坂の上の雲」を読んで奮い立った。
それが人生の原点であった。
「晴天を衝け 明治篇」はその香りがプンプンする。
これからの放送が楽しみだ。
オープニグナレーション(語り:渡辺謙)は何度聞いてもいい。
まことに小さな国が,開化期を迎えようとしている。
「小さな」といえば,明治初年の日本ほど小さな国はなかったであろう。
産業といえば農業しかなく,人材といえば三百年のあいだ読書階級で
あった旧士族しかなかった。
明治維新によって日本人は初めて近代的な「国家」というものを持った。
誰もが「国民」になった。不慣れながら「国民」になった日本人たちは,
日本史上の最初の体験者として,その新鮮さに昂揚した。
この痛々しいばかりの昂揚が分からなければ,この段階の歴史は分からない。
社会のどういう階層の,どういう家の子でも,ある一定の資格をとるために
必要な記憶力と根気さえあれば,博士にも,官吏にも,軍人にも,教師にも成り得た。
この時代の明るさは,こういう楽天主義から来ている。
今から思えば,実に滑稽なことに,コメと絹の他に主要産業のない国家の連中は,
ヨーロッパ先進国と同じ海軍を持とうとした、陸軍も同様である。
財政の成り立つはずがない。が,ともかくも近代国家を作り上げようというのは,
元々維新成立の大目的であったし,維新後の新国民の少年のような希望であった。
この物語は,その小さな国がヨーロッパにおける最も古い大国の一つロシアと対決し,どのように振舞ったかという物語である。主人公は,あるいはこの時代の小さな日本
ということになるかもしれないが,ともかく我々は3人の人物の跡を追わねばならない。
四国は,伊予松山に3人の男がいた。
この古い城下町に生まれた秋山真之は,日露戦争が起こるにあたって,
勝利は不可能に近いと言われたバルチック艦隊を滅ぼすに至る作戦を立て,それを実施した。
その兄の秋山好古は,日本の騎兵を育成し,
史上最強の騎兵といわれるコルサック師団を破るという奇跡を遂げた。
もう一人は,俳句短歌といった日本の古い短詩形に新風を入れて,
彼らは明治という時代人の体質で,前をのみを見つめながら歩く。
上って行く坂の上の青い天に,もし一朶(いちだ)の白い雲が輝いているとすれば,
それのみを見つめて,坂を上っていくであろう。