Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

本の学校「ドイツ独立系書店の経営」

10日前に受講した配信フォーラム。

備忘録的にアーカイブ記入。

 

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登壇者は、個人経営大手オジアンダー書店 代表

ハインリッヒ・リートミューラー氏。(下記写真)

2013年~2015年までドイツ図書流通連盟会長(BDA)会長を務めていた。

 

オジアンダー書店

個人経営大手書店。ドイツで二番目に古い書店。

南ドイツを中心に68店舗。売上1億ユーロ(約127億円)。

コロナ禍で店頭売り上げは急落。ネット売上(占有30%)は好調。

年間売上の20%を占めるクリスマス商戦がどうなるか?

 

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ドイツ出版流通の概要

・市場規模 5,418億円(書籍のみ)/2019年 人口8,000万

   cf. 日本:1兆2千億円。(書籍)6,661億円、(雑誌)5,576億円 /2020年 人口1億2千万

・書店マージン(直仕入40%、取次30%)。返品膣10%~15%。

・書籍の価格は日本の1.5倍~2倍。

・新刊配本はなく、すべて書店の仕入れ(いわゆるマーケットイン)

・書籍価格拘束法により定価販売を義務付けられる。

 

⇒ これがよく引き合いに出されるマーケットイン

  ドイツの書店は書籍しか扱わない(雑誌は別チャネル)。

  書籍だけで書店と取次の経営を成り立たせる流通モデルが

   上記の取引条件、流通形態。  

 

オジアンダー書店本店(チュービンゲン

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顔写真入りのパネルで店員が書籍を紹介。

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ドイツ図書流通連盟(BDB)について

・1825年設立 出版社、取次、書店が一堂に会す。

ロビー活動(書籍価格拘束法、著作権法、対Amazon 他)

・世界最大「フランクフルトブックフェア」主催・運営

・統一データベース構築

・書店員の教育機関運営

 

⇒ もう一つよく引き合いに出される業界統一組織(BDB)。

  日本は出版社(書協、雑協)、取次(取協)、書店(日書連)と

    事業者別の組織となっており、ロビー活動に弱く、軽減税率、電子出版の

       再販制度等に関して後手を取った。 

    この点はJPIC近藤理事長が先頃、JPICが統一組織の土台となるべく活動を

    行うと表明された。  

 

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やはり講演内容は、日本の出版業界がベンチマースとすべき

①マーケットイン、②業界統一組織 が中心となっていた。

一方でリートミューラー氏が、タリアのIT技術仕入れのスケールメリット

活用でき非常に助かっているとさらりと触れた、

オジアンダー書店」と「業界最大手書店タリアグループ」の業務提携は

なかなか聞き流せないニュースだ。個人経営の雄「オジアンダー」が

大手書店グループに飲み込まれた・・・コロナ禍で書店の二極化が加速する

生々しい内情と共に報じたネットニュースもある。

 

タリア書店グループ

売上:1,512億円(2019)。店舗数350店(ドイツ、オーストリア、スイス)。

cf. オジアンダー 売上:132億(2019)店舗数72店

 

news.yahoo.co.jp

 

総論としては文句なしだが、各論になると

日本国内では相当な市場規模を有する「雑誌」「コミック」そして

「アダルト」(雑誌、コミック)をどう位置付けるかが

ロビー活動を展開する上で最初の課題になるのかもしれない・・・

 

なんて考えながらも、横目で日本シリーズ第一戦を見る。

オリックス山本由紳、ヤクルト奥川恭伸・・

手に汗握る投手戦だ。

 

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hon-hikidashi.jp

 

2018年ドイツ出版産業視察調査報告書(JPO、文化通信社)