3/16 TBSラジオ「アフター6ジャンクション」の特集はタイトルが長い
「演劇史に残る古典「ゴドーを待ちながら」を解説してくれる人を
ずっと待っていた! 今こそ劇作家「サミュエル・ベケット」
について教わろう特集 by岡室美奈子」
これは必聴だ。
演劇を齧った者なら「ゴドーを待ちながら」の誰でもが洗礼を
受ける名作(?)。しかし難解でありながら、あらゆる解釈を受け入れ、
かつ哲学的であり格調が高い・・・
私も何度かチャレンジはしたが、簡単に乗り越えられる戯曲ではない。
改めて「ゴドー」「ベケット」を学ぶには、またとない特集だ。
解説は、早稲田演劇博物館の「岡室美奈子」館長。
私が演劇(アングラ、小劇場)を夢中になって観ていた80年代。
当時の演出家、座長、俳優のインタビューには、必ず「ゴドーを待ちながら」
と「サミュエル・ベケット」のことが書かれていた。
寺山修司、鈴木忠志、唐十郎、別役実、串田和美、つかこうへい、鴻上尚史・・・
数え上げればきりがない。当時、渋谷紀伊國屋書店(東急プラザの中にあった)
で「ゴドーを待ちながら」を買って読んだがよく分からない。難解だった。
誰が演じていたか忘れたが、「ゴドー」の舞台も観に行った。
とても不条理劇の一言で片づけられなかった。
この芝居は、頭で理解するものではないのだろうか?
などと考えつつそのままになっていた。
(「不条理劇」と言えば、別役実の作品は、活字も芝居も好きなのだが)
それから十年経った2000年。
世田谷パブリックシアターで「ゴドーを待ちながら」を観た。
演じ、佐藤信が演出! これは何かを掴めるんじゃないかと期待したが、
・・・そう簡単には理解できなかった。
それから20年。
三度(みたび)「ゴドーを待ちながら」に向き合う。
今回の特集は、eテレ「100分DE名著」的ものなので期待したのだが、
・・・やはり明快な理解はできなかった。(当たり前だ)
番組の中で岡室さんは、哲学的で格調高い翻訳が「ベケット」を
難解にさせている。と語っていた。そこで岡室さんは「格調の低い」
新訳の「ゴドーを待ちながら」を完成させた。
それが「新訳ベケット戯曲全集」(白水社)。「ゴドーを待ちながら」は
第一巻に収録されている。これは是非読みたい。
番組の中で、岡室さんが今までに観た「ゴドーを待ちながら」で
素晴らしかった俳優は?の問いにこう答えた。
・柄本明、石橋蓮司(2000年)世田谷パブリックシアター 演出:佐藤信
・緒形拳、串田和美(2002年)シアターコクーン (YouTubeにアップされている)
・柄本祐、柄本時生(2014年) ※映画「柄本家のゴドー」で見ることができる。
そう簡単には掴みきれないね「ベケット」「ゴドー」は。
様々な解釈が成り立つからこそ、色褪せない古典なのだろうね。
「不条理劇」というフレーズを何回も聞いていたら
なんだか、別役実が読みたくなってきた。
日本アカデミー賞受賞の映画「ドライブ・マイ・カー」の劇中劇が
「ゴドーを待ちながら」らしい。(その関連性を岡室さんが書いている)
今、なぜ「ゴドー」なのか? その理由は「ドライブ・マイ・カー」だった。