野毛にある「横浜にぎわい座」20周年記念公演
「志の輔 no にぎわい」3daysの千秋楽に足を運ぶ。
20年前から独演会をやっている志の輔さんにとって、
ひとかたならぬ思い入れが、その高座から感じられた。
この公演、PARCO公演に並ぶぐらい素晴らしかった!
横浜にぎわい座は寄席だ。
サイズも作りも舞台も寄席を忠実に再現している。
なので音響は劇場やホールに比べ、決していいとは
言えないが、あの猥雑とした音響・・・
寄席に来たな~という実感が味わえる。
開園時間を過ぎると志の輔さんが登場。
あれ開口一番の前座さんは!? 私が面食らっている中、
どんどんマクラが進む・・・今日は前座無しなんだ。
にぎわい座の想い出と思い入れ。
満員の観客の中で、ようやく落語ができる喜び。
満員の観客の笑顔と拍手で迎える幸せを、
志の輔師匠はしみじみと語る。
(コロナでにぎわい座での公演は3年ぶり)
そんな中でのウクライナ紛争の一喝。
「今、人類が戦うべき相手はコロナ株でしょう。
人類同士が争ってどうするんですか」
演目は
・たけのこ (志の輔)
・異議なし!(志の輔)
仲入り
・長唄五連者(松永鉄九朗一座)
・帯久 (志の輔)
豪華な演目だ!
正月のPARCO公演でお馴染み「松永鉄九朗さん」による
長唄五連者(ナガウタゴレンジャー)も凛として粋だった。
前座を入れない本気の公演は凄かった。
極めつけは、長尺の「帯久」。PARCO以上だったかもしれない・・
「立川志の輔にハズレなし!」
「常に期待を上回ること間違いなし!」
「でもチケットはなかなか取れないよ(涙)」
終焉後ホールで友人から、今日の公演のヒントを教えてもらった。
「志の輔師匠は、マクラで時事問題を語ることは、まずない。
今日のマクラ(ウクライナ紛争)は特別なものだった。」
「演目の”たけのこ””異議なし!””帯九は全部、争い諍いの噺。
その三様の争いを並べたんですよ。志の輔師匠は」
なるほど!
ちょっと目からウロコが落ちた。
・タケノコ・・・意地の張り合いからのブチかまし。
・異議なし!・・・自分の主張のみで。会議は踊る。
・帯九・・・争いを大岡越前が見事に裁いて一件落着。
そうか、最後に「帯九」の大岡裁き。
争いとはこう収めるものよ! と言っているようだった。
なんと計算された演目のラインナップ。
お見事!
にぎわい座には「笑門来福」「千客万来」の額が・・・
世の中はこうでなくちゃね。