Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

筑摩書房それからの四十年

”これは出版界のプロジェクトXだ”

というキャッチコピーの本を2冊読んだことがある。


 ・出版をめぐる冒険―利益を生みだす「仕掛け」と「しくみ」全解剖

 ・復刊ドットコム奮戦記-マニアの熱意がつくる新しいネットビジネス


残念ながら両書とも「プロジェクトX」!と言うには少々毛色が違った。


しかし、この本は正真正銘「出版界のプロジェクトX」だった。


筑摩書房 それからの四十年 1970-2010 (筑摩選書)

筑摩書房 それからの四十年 1970-2010 (筑摩選書)


オビにはこう記してある。

「主人公それは”再生”。去るも地獄、残るも地獄。

   倒産からの模索は、はたして功を奏するのか」


筑摩書房は1978年7月12日、会社更生法を申請、事実上倒産した。

最終的な負債額は三十六億円。

更生計画は、負債の債務カットを行わず100%弁済するという

異例のものだった。弁済資金は営業収益金から捻出せねばならず、

弁済計画は15年という長期となった。


結論からいえば、筑摩書房は蘇った!

1991年更生計画が終了。2003年には蔵前の本社ビルを購入した。


ちくま文庫」「ちくま文学の森」「ちくま学芸文庫」「ちくま新書

「雑誌”頓智”」「金持ち父さん 貧乏父さん」「筑摩選書」

そして、誇りうる「物流&情報システム」と営業改革・・・。

すべてが血の滲むような努力の結晶だ。


私も、最初は読者として、そして取引先として、同業者として、

この道筋を少し離れたところから見てきた。


今年、筑摩書房創業70周年の社史として、

「筑摩書房の三十年」(和田芳恵著)の復刊に続き、

永江朗著で本書が発刊された。


 我々はその歴史を受け止めるとともに、

 そこからパワーを汲み取らなくてはならないと感じた。