”これは出版界のプロジェクトXだ”
というキャッチコピーの本を2冊読んだことがある。
・出版をめぐる冒険―利益を生みだす「仕掛け」と「しくみ」全解剖
・復刊ドットコム奮戦記-マニアの熱意がつくる新しいネットビジネス
残念ながら両書とも「プロジェクトX」!と言うには少々毛色が違った。
しかし、この本は正真正銘「出版界のプロジェクトX」だった。
筑摩書房 それからの四十年 1970-2010 (筑摩選書)
- 作者: 永江朗
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/03/16
- メディア: 単行本
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オビにはこう記してある。
「主人公それは”再生”。去るも地獄、残るも地獄。
倒産からの模索は、はたして功を奏するのか」
筑摩書房は1978年7月12日、会社更生法を申請、事実上倒産した。
最終的な負債額は三十六億円。
更生計画は、負債の債務カットを行わず100%弁済するという
異例のものだった。弁済資金は営業収益金から捻出せねばならず、
弁済計画は15年という長期となった。
結論からいえば、筑摩書房は蘇った!
1991年更生計画が終了。2003年には蔵前の本社ビルを購入した。
「ちくま文庫」「ちくま文学の森」「ちくま学芸文庫」「ちくま新書」
「雑誌”頓智”」「金持ち父さん 貧乏父さん」「筑摩選書」
そして、誇りうる「物流&情報システム」と営業改革・・・。
すべてが血の滲むような努力の結晶だ。
私も、最初は読者として、そして取引先として、同業者として、
この道筋を少し離れたところから見てきた。
今年、筑摩書房創業70周年の社史として、
「筑摩書房の三十年」(和田芳恵著)の復刊に続き、
永江朗著で本書が発刊された。
我々はその歴史を受け止めるとともに、
そこからパワーを汲み取らなくてはならないと感じた。