Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

ホスト万葉集

宮藤官九郎さんがお気に入りの一冊。

自分のラジオ番組の冒頭で、いつも本書から一句読んでいる。

それを聴いてるうちに私もつられて購入。確かに面白い。

 

本書は「サラリーマン川柳」や「シルバー川柳」のような半分お笑い的な

ものと違い、大まじめな短歌の本。

歌舞伎町ブックセンターで有名なホストクラブチェーンが、定期的に開催する

ホストによる歌会(この歌会の選者は俵万智、小佐野弾、野口あや子さん他。

このメンバーでも歌会の本気度がわかるというもの)の作品900首の中から

上記選者が300首に厳選した歌集なのだ。

 

もともと短歌と恋愛は相性がいい。

短歌には「相聞」という愛の歌のジャンルがど真ん中にあるんです。

万葉集」や「勅撰集」がその代表です。

ホストという愛のプロのような方たちが歌を紡いでくれたら

短歌も喜ぶんじゃないかと。 (俵万智

 

掲載短歌の内容は玉石混交・・・

趣旨とは異なるとは知りつつ、宮藤官九郎さんも、私も

オチを探してしまう。(以下、お気に入りの短歌)

 

眠らない街と言われる歌舞伎町 なのに寝ている 道路に人が(ゆきや)

・歌舞伎はね 皆違って皆いい でもグッチばっかり何故だろう?(青山礼満)

鏡月が薄いと言われ作りなおし 結局「濃ゆい」 飲めないんかい!(ユナ)

・楽しいな パリピピリピリ ピッピリピ 昨日の記憶一切ねぇわ(令和)

・鳴かぬならそういう種類のホトトギス 他に鳥などいくらでもいる

・自粛中Zoom使うも今スッピン顔出しNG Zoom意味なし(愛乃シゲル) 

 

誤解のないように言いますが、このような笑いやオチのある短歌以外にも

ホストの悲哀、姫への想い、恋の儚さを歌った短歌が沢山あります。

巻末には作者紹介(ホスト一覧)も ついている。

 

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ここで私も一句。

まじめな歌と知りつつも オチが嬉しい ホスト歌

お粗末。