前から観ようと思っていた映画。
原作は司馬遼太郎。ストーリーも周辺の時代も熟知しているし
していなかった・・・。
しかし、いい映画に仕上がっていた。
本(原作)に力があるのはもちろんだが、主演の役所広司が
見事な河井継之助を演じていた。役者の力はすごい。
歴史の結果を知っている我々からすれば、7万4千石の小藩が
薩長相手に武装中立など無理だと考えるが、260年の徳川家への恩義、
主君への忠誠心が長岡藩を開戦に踏み切らせた。
幕末維新、会津藩しかり長岡藩しかり藩祖の教えを忠実に守った藩は、
悲劇の結末を迎えることになる。藩の家老として義の為なら、家臣や領民を
悲劇に追い込んでもいいのだろうか?
この辺は疑問が残る。(この時期、日本中の藩が義と生き残りを天秤にかけ
壮絶な藩内構想の末に勤王の旗印を掲げ、家臣と領民を守っていたから・・)
もう一つ幕末映画の興味は、幕軍、官軍、各藩兵の兵装。
長岡藩兵の描写はさすがに完璧だった。藩旗の五間梯子が眩しい。
そして一方の官軍。 これは?という感じだった。
薩摩、長州の藩兵が両側一列に並び睨みつけるように継之助に視線を送る。
幕末好きの私から言わせると、これは薩長兵の軍装ではない。
日除け垂布のついたケピ型軍帽と黒絨の立襟1行ボタンの上衣に
ズボンという制服は、どう見ても幕府陸軍伝習隊の軍装だった。
(明治陸軍のルーツとなった軍装)
これはどうゆう演出なのだろうか?
映画のエンディングは、米百俵に行くかと思ったが、
流石にそこまでは描かず
あくまで河井継之助(最後のサムライ)の映画だった。