TBSラジオ「キラキラ」の金曜日に水道橋博士が熱く紹介した本がこれ。
すぐに書店に行き購入した。上下段組み700ページの大作だ。
主人公の木村政彦は、戦前に「鬼の木村」とうたわれた伝説の天才柔道家。
全日本選手権を13年連続保持し、15年不敗のまま引退した。
戦後はプロレスラーに転身し、有名な力道山との「昭和の巌流島」(昭和29年)を闘う。
だが力道山に謎のKO負けを喫してしまい、世間の記憶から消えてしまった。
- 作者: 増田俊也
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/09/30
- メディア: 単行本
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「昭和の巌流島」の真相は、引き分けというアングル(台本)を力道山が無視し、
一方的にセメント(真剣勝負)を仕掛けたというのが定説。
テレビの全国放送で醜態をさらした木村は、再戦と報復を企画するが果たせない・・・
その後、木村は拓大柔道部の監督を務め、全日本学生柔道選手権での優勝に導いたが、
敗北の傷は終生つきまとう。
この書は壮大なる「格闘技興亡史」でもある。
戦前に旧制高校、大学予科で行われていた高専柔道というものがあった。
講道館柔道とは違い、立ち技からの直接寝技に引き込むことが認められ、優勢勝ちがない、
古くは、柔術の流れを組む当て身(打撃)もあったそうだ。
今のブラジリアン柔術に非常に近いらしい。木村政彦も高専柔道を学んでいた。
しかし、戦後GHQの軍国主義を助長する武道禁止により、文部省等へロビー活動を
積極的に行った講道館柔道のみが生き残った。
現在、講道館柔道が禁止してきたタックルにより日本選手が苦戦している姿や、
皮肉な格闘技興亡史を痛感する。
本書の活字量は膨大だ、まだまだ半分しか読めていない。