今年は日韓併合から100年。関連書を2冊読んだ。
植民地支配の賛否については言うまでもない。
植民地支配を含めた日韓両国の歴史を正視し、新たな関係をどう築けばいいのか?
- 作者: NHK取材班
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2011/10/22
- メディア: 単行本
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今年5月、国会である法案が成立し、皇居(宮内庁書陵部)に保管されていた
「朝鮮王朝儀軌」などの図書1200冊あまりを、韓国に引き渡すことになった。
朝鮮王朝儀軌は、李王朝歴代の冠婚葬祭など主要な儀式から、城郭の修築に至るまでの国家的な事業を、
色鮮やかな図柄入りで詳細につづった文書群で、ユネスコの「世界記憶遺産」にも登録されている
なぜ、朝鮮王朝文化の克明な記録が、なぜ宮内庁にあるのか?
- 作者: 新城道彦
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 2011/08/05
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併合条約交渉時に最大の争点となったのが、韓国皇室の処遇。
日本は「相当なる尊称、威厳、名誉とこれを維持できる十分な歳費を供与する」と約束し、
皇族・華族・平民とは別に王公族という特殊な身分をつくり皇族の待遇を補償して
「朝鮮統治の正当性」を確保した。
しかし、為政者の思惑と、法的位置づけは異なり、その処遇に苦慮した。
併合から9年、高宗(朝鮮王朝第26代君主)が亡くなり、日本政府と朝鮮総督府は
最大級の国葬を行った。しかし、その葬式は朝鮮では馴染みのない日本様式(神道方式)
だった為、独立運動を過熱させ、3.1独立万歳運動の遠因となった。
そのため、1926年最後の皇帝純宗(第27代)が亡くなった時には、朝鮮古来の方式に戻している。
その葬儀を前にして、朝鮮王朝有職故実の研究のために宮内省が「朝鮮王室儀軌」を
取り寄せさせたのではないかと考えられている。
王公族、儀軌ともに国家のエゴの狭間で流転し続けた・・・
それは現在も、そう変わってないように見受けられる。