別役実さんの訃報がと飛び込んできた。
「サミュエル・ベケットの影響を受け、
日本の不条理演劇を確立した第一人者である。」
とニュースでは称されていた。
学生時代には、別役さんの芝居をよく観に行った。
「マッチ売りの少女」「不思議の国のアリス」
「天才バカボンのパパなのだ」そして「メリーさんの羊」。
一番印象に印象に残っているのが、渋谷ジャンジャンで観た
中村伸郎が演じる「メリーさんの羊」。家の書棚には
今でも戯曲がとってある。心に残る作品だった。
不思議な芝居だった。
中村伸郎演じる元鉄道員の老人(男1)、そこに現れた青年(男2)
二人の会話で物語は進む。そして過去の鉄道事故に絡む謎が
徐々に浮かび上がる・・・「トム坊や・・」
いつの間にかテーブル上の玩具の汽車が、
前照灯をまたたかせ走っている
「メリーさんの、ひつじ、ひつじ、ひつじ・・・。
メリーさんの、ひつじ・・・」
不思議な魅力に溢れる舞台だった。
あれから30年近く経つが、ジャンジャンの小さく薄暗い
空間と会いまったあの空気が忘れられない。
合掌。