「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
五千年の出版史から見てこそわかる、電子本の意味づけとは?
この本に貼った付箋は約20か所。
久々に目からウロコをボロボロ落とした。
- 作者: 津野海太郎
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2010/11/26
- メディア: 単行本
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・書物史第一革命 口承から書記 (文字の発明)
・書物史第二革命 印刷技術の登場
・書物史第三革命 電子本の登場
いまは、第三革命がはじまったばかりの時期・・・
「本の力が黄金時代の水準を取り戻すのはもう不可能だろう。そして奇しくも
その本と読書のどんづまり状況に電子化が重なってきた」
(既存出版の下落は、産業としての”出版”のライフサイクル=寿命の問題)
つまり産業としての出版のおとろえと、電子化の進行のあいだに
直接の因果関係はない。 と著者は言う。
たまたま、それが同時期だったため、「野垂れ死にしかねなかった出版界にとって、
電子本は救世主に映る。」 しかし、そんな甘いもんじゃない。
これからは本というメディアの二分化がはじまる。
一つは旧来の縮小的延長として、規模は3分の1程度か・・・
もう一つは、無料情報の大海から、直接立ち上げられる新しい出版ビジネスとして。
新しい出版ビジネスを立ちあげられるのは、いま幼稚園や保育園にかよっている子ども
たちからあとの世代。二十世紀型の出版人ではとても無理だ。
近い将来の、その二つが共存していく、新しい時代を見ていかなければならない。
電子書籍のニュースに一喜一憂している諸兄、
五千年の流れから俯瞰し、現状を見て考えることも大切だ。
そこから電子本の肝を汲み取れるかもしれない。
佐野眞一のこの本はこう分析されていた
「面白かったですよ。一億総懺悔というかね。すべての出版人が心がけを
かえないと現在の本の危機は乗り越えられないぞと脅かしていますが、
いまの帰結は「商品としての本」を中心の二十世紀出版史の当然の帰結
なんですから、みんなで懺悔して心がけを正すという程度のことで
解決出来るわけがないんです」
目からウロコが落ちた記事の大部分は
2001年〜2004年に「季刊 本とコンピュータ」に掲載されたものだった。
・・・そんな昔の記事だったのか。