Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

レッドアローとスターハウス

レッドアロー」は、1969年に開業した西武鉄道を走る座席指定特急の名称。

一方の「スターハウス」は、日本住宅公団ひばりが丘団地などに建てた、

上から見るとY字型をした2DKの「星形住宅」。1960年ごろは憧れの住宅で、

「スターハウスこそは、団地の時代の幕開けを告げる記念碑的建物であった」。


レッドアローとスターハウス―もうひとつの戦後思想史

レッドアローとスターハウス―もうひとつの戦後思想史


本書の副題には、「もうひとつの戦後思想史」とある。

西武鉄道堤康次郎西武グループ創設者)を「天皇」とする王国であり、

その沿線に作られた団地(ひばりが丘、滝山、東久留米、久米川、新所沢団地、他)は、

日本共産党が勢力を伸ばす拠点となっていた。

その為、西武沿線には「天皇」と「共産党」が手を携えあう複合的な思想空間が生まれていた。

集合住宅の風景からして、戦後日本を席巻したアメリカニズムとは異なるソ連風であった。

(日本の団地の風景が、モスクワ郊外の労働者住宅に似ている)

※レッドアローの命名が、旧ソ連寝台列車赤い矢号

  (サンクトペテルブルグ発→モスクワ行き)からという話もある


   スターハウス


私が幼少から住んでいる中央線沿線と西武線は東京西部で2〜3キロ間隔しか離れていないが、

西武線沿線の歴史は全く知らなかった。特に戦前から言説化されてきた中央線沿線に対して、

西武沿線の歴史が語られることは圧倒的に少なく、

この「空間」に焦点を絞り、戦後思想史を読み解こうとするのは非常に興味深かった。


西武王国・堤家支配の仕組というと、この本も読む必要があるだろう。

今や東京都知事。そして新宿のブックファースト新宿店で大きく展開していた。

(都庁のお膝元だしね・・・)


ミカドの肖像(小学館文庫)

ミカドの肖像(小学館文庫)