「レッドアロー」は、1969年に開業した西武鉄道を走る座席指定特急の名称。
一方の「スターハウス」は、日本住宅公団がひばりが丘団地などに建てた、
上から見るとY字型をした2DKの「星形住宅」。1960年ごろは憧れの住宅で、
「スターハウスこそは、団地の時代の幕開けを告げる記念碑的建物であった」。
- 作者: 原武史
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/09/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 22回
- この商品を含むブログ (22件) を見る
本書の副題には、「もうひとつの戦後思想史」とある。
西武鉄道は堤康次郎(西武グループ創設者)を「天皇」とする王国であり、
その沿線に作られた団地(ひばりが丘、滝山、東久留米、久米川、新所沢団地、他)は、
日本共産党が勢力を伸ばす拠点となっていた。
その為、西武沿線には「天皇」と「共産党」が手を携えあう複合的な思想空間が生まれていた。
集合住宅の風景からして、戦後日本を席巻したアメリカニズムとは異なるソ連風であった。
(日本の団地の風景が、モスクワ郊外の労働者住宅に似ている)
(サンクトペテルブルグ発→モスクワ行き)からという話もある
私が幼少から住んでいる中央線沿線と西武線は東京西部で2〜3キロ間隔しか離れていないが、
西武線沿線の歴史は全く知らなかった。特に戦前から言説化されてきた中央線沿線に対して、
西武沿線の歴史が語られることは圧倒的に少なく、
この「空間」に焦点を絞り、戦後思想史を読み解こうとするのは非常に興味深かった。
西武王国・堤家支配の仕組というと、この本も読む必要があるだろう。
今や東京都知事。そして新宿のブックファースト新宿店で大きく展開していた。
(都庁のお膝元だしね・・・)
- 作者: 猪瀬直樹
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/03/08
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 72回
- この商品を含むブログ (57件) を見る