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もし、Jリーグがなかったら 金子達仁

明日のJリーグ発足20年に対して金子達仁が、素晴らしい文章を寄せている。

本当に素晴らしい珠玉の文章だ。そのタイトルは

Jリーグに求められる“創成期の精神”

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1993年以前に日本サッカーを取り巻く環境はこうだった。

日本人にサッカーは合わない。

プロ・リーグを作るには時期尚早。

川淵三郎初代チェアマンをはじめ、Jリーグ立ち上げに奔走した人たちが

幾度となくぶつかったのがそうした反応だったという。

つまり、「永遠に無理」か「いまは無理」──。


こうした抵抗勢力が蔓延する中で、なぜJリーグは発足できたのか?

そして、今まで生き残れた理由はなんなのか? 

この疑問に対して金子達人は、

なぜJリーグは発足することができたのか。

川淵三郎の蛮勇があったから、だった。

なぜJリーグはつぶれなかったのか。

天の計らいとしか思えないほど絶妙のタイミングで、

代表チームが国民的な注目を集めたから、だった。

ここ数年間、Jリーグの開催時期を現在の”春秋制”から、

欧州と同じ”秋春制”に移行するか?という議論が続いている。

この議論に対して金子達仁は警鐘を鳴らす。

日本では無理だから。

寒い時期に見に来てくれるほどサッカーは根付いていないから。

つまり、Jリーグを生み出す上での最大の抵抗勢力だった

「永遠に無理」か「いまは無理」という発想が、

いまやサッカー関係者の口から抵抗なく出てくるようになっていたのである。

敗北という収穫 (中公新書ラクレ)

敗北という収穫 (中公新書ラクレ)

そして最後にこう結んでいる。

日本社会においては圧倒的な重みを持つ「前例がないから」という発想に、

真正面からぶつかっていったのがJリーグだった。

やったことがないことを、成功したことがないことを、罪悪や恥ではなく挑戦の対象として捉え、

表現したのが、創成期のJリーグだった。

Jリーグは、新しかった。だから、生き残ってきたのである。

(中略)

求められるのは、だから、これからも創成期の精神を持ち続けることだとわたしは思う。

新しいものを恐れない精神があれば、日本ではほとんど前例がない、自分たちで作り上げたものを自分たちで否定し、

自分たちで新しいものを生み出していく──ということもできるのではないか、

古いサッカーファンにとっては一瞬の隙もない珠玉の文章だ。

Jリーグが”創成期の精神”を忘れた時は消え行く時だ。

危機感を常に持ち続け、”プレミアに追いつき、追い抜く?”を真剣に考え続けてもらいたい。