舞台美術家の朝倉摂さんが亡くなられた。
朝倉摂さんの舞台美術は”饒舌な舞台”だった。
学生時代に演劇をやっていた頃、その舞台美術は、憧れであり、羨望の的であった。
当時、PARCO出版から「朝倉摂のステージ・ワーク」という舞台写真集がでていた。
大判で価格は3,999円。当時は高価で買えなかった・・・
朝倉摂のステージ・ワーク (Parco view (16))
大学の近くの渋谷図書館に蔵書されていた「朝倉摂のステージワーク」を
借りては返し、借りては返しで、1年の半分は小生は借りていた事もあった・・・(謝)
その饒舌な舞台写真を眺めては、自分が創りたい芝居のイメージを膨らませていた。
一番好きだったのは「黒いチューリップ」の舞台美術。
暗闇に輝く無数のパチンコ台。舞台はパチンコ屋だ。
パチンコ台の上を渡り歩く主人公。
そして主人公に追いすがり舞台上を走り廻る数多の群衆・・・
腰も抜かさんばかりの衝撃を味わったのを憶えている。
〔演目〕黒いチューリップ
〔期日〕1983年2月・3月
〔会場〕渋谷/PARCO 西武劇場
〔作〕唐十郎
〔演出〕蜷川幸雄
〔出演〕李礼仙/柄本明/溝口舜亮/浜田晃/塩島昭彦/大門伍朗/不破万作/ほか
〔美術〕朝倉摂
ネット上をくまなく探しても「黒いチューリップ」の舞台写真は見つからない。
「朝倉摂のステージ・ワーク」も入手不可だ。
買っておけばよかった・・・。
いや、そんなことより。ご冥福をお祈りいたします。
合掌。