Makotsu Garage

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三宅裕司70歳記念落語会

 

明治大学落語研究会には大名跡がある

「紫紺亭 志い朝」(しこんてい しいちょう)

落研代々の実力者がこの名跡を引き継いでいく。

この名跡が三代にわたり奇跡ともいえる人材を輩出した。

 

 ・四代目 紫紺亭 志い朝 (三宅裕司

 ・五代目 紫紺亭 志い朝 (立川志の輔

 ・六代目 紫紺亭 志い朝 (渡辺正行コント赤信号

 

この三人の紫紺亭志い朝三宅裕司の70歳を記念して

28年振りに落語会を開いた。場所は「熱海五郎一座」(三宅裕司演出)

お馴染みの新橋演舞場

 

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冒頭は三人揃ってのトーク

三宅裕司さんは志の輔さんを「タケ(本名:竹内照雄」と呼び、

二人は渡辺リーダーを「ナベ」と呼ぶ。

会話からみる三人の関係性はすっかり落研の先輩後輩。

 

志の輔さんは一言

「知らない皆さんに念の為、言ってきますが

  この中でプロは私一人だけですから

開場は大爆笑となった。

・・・この言葉は伏線だったのかもしれない。

 

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最初は渡辺リーダーの「時そば」。コーラの一気飲みは出なかった。

続いて志の輔さん渾身の「八五郎出世」。その興奮のまま仲入りに。

仲入の後に本日の主役「三宅裕司」さんの「鰻の幇間」。

 

三宅さんは三遊亭圓生ばりの粋でソフトな語り口。まるで落語家の

佇まいだ。そして演目も本寸法の「鰻の幇間」。

確かにその辺の役者に比べれば、非常に上手いのだが、いかんせん

仲入りの前の志の輔さんの「八五郎出世」と比べられると・・・

 

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志の輔さんの「八五郎出世」は圧巻だった。

プロとアマの差をまざまざと見せつけられたようだった。

友人に聞いた話だと前日の「スタジオフォー」(大塚)の

落語界で志の輔さんは昼と夜の2回「八五郎出世」をかけており、

この日の為の調整は十分だったようだ。

 

そして先輩の70歳記念落語界で手加減抜きの全力「八五郎出世」。

まるでイチローが女子高校生相手に全力投球をしたのと

同じようだ。相手への敬意なのだろう。

 

結果的に頭の中には、志の輔さんの圧巻の落語しか残らなかった。

一緒に行った友人は言った。志の輔さんの凄さばかりが目立ち、

志の輔ファンをますます増やした落語会だったね」

 

この中でプロは私一人ですから

この言葉がなかったら、許容できないぐらいの差を見せつけられた。

 

※「紫紺亭志い朝」の志い朝(しいちょう)は、C調 からきているそうだ。

 

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