「紫紺亭 志い朝」(しこんてい しいちょう)
この名跡が三代にわたり奇跡ともいえる人材を輩出した。
・四代目 紫紺亭 志い朝 (三宅裕司)
・五代目 紫紺亭 志い朝 (立川志の輔)
28年振りに落語会を開いた。場所は「熱海五郎一座」(三宅裕司演出)
でお馴染みの新橋演舞場。
冒頭は三人揃ってのトーク。
二人は渡辺リーダーを「ナベ」と呼ぶ。
会話からみる三人の関係性はすっかり落研の先輩後輩。
志の輔さんは一言
「知らない皆さんに念の為、言ってきますが
この中でプロは私一人だけですから」
開場は大爆笑となった。
・・・この言葉は伏線だったのかもしれない。
最初は渡辺リーダーの「時そば」。コーラの一気飲みは出なかった。
続いて志の輔さん渾身の「八五郎出世」。その興奮のまま仲入りに。
三宅さんは三遊亭圓生ばりの粋でソフトな語り口。まるで落語家の
佇まいだ。そして演目も本寸法の「鰻の幇間」。
確かにその辺の役者に比べれば、非常に上手いのだが、いかんせん
プロとアマの差をまざまざと見せつけられたようだった。
友人に聞いた話だと前日の「スタジオフォー」(大塚)の
落語界で志の輔さんは昼と夜の2回「八五郎出世」をかけており、
この日の為の調整は十分だったようだ。
そして先輩の70歳記念落語界で手加減抜きの全力「八五郎出世」。
まるでイチローが女子高校生相手に全力投球をしたのと
同じようだ。相手への敬意なのだろう。
結果的に頭の中には、志の輔さんの圧巻の落語しか残らなかった。
一緒に行った友人は言った。「志の輔さんの凄さばかりが目立ち、
志の輔ファンをますます増やした落語会だったね」
「この中でプロは私一人ですから」
この言葉がなかったら、許容できないぐらいの差を見せつけられた。
※「紫紺亭志い朝」の志い朝(しいちょう)は、C調 からきているそうだ。