丸善丸の内店で見つけた新刊。
軍事ロジスティクスの論考を実例のチャプター毎に分析した
オムニバス形式。どのチャプター(章)からでも読めるのが良い。
そしてその内容が一般的な考察とは異なり、非常に興味深い。
興味深かったチャプター(章)は
・「シュリーフェン計画」とロジスティクス
・ノルマンディ上陸作戦とその後のロジスティクス
・パットンVSモントゴメリー
・湾岸戦争とコンテナの有用性
ロンメル(DAK=ドイツアフリカ軍団)の場合
通常は「地中海の制空権、制海権の喪失」が補給のウイークポイントと
言われているが、実際は会場での喪失は 9%に過ぎず、本当の問題は
トリポリ、ベンガジの港湾能力不足とアフリカ内陸の陸路補給距離の長さだった。
要は、ロンメルが自軍のロジスティクス能力以上に(ロジスティクスを軽視して)
部隊を進めて戦ったことが、原因であり必然だと言う。
当時の国防軍の将官たちも、ロンメルのロジスティクスへの関心が薄く、
衝動的な作戦、成り行き任せの作戦を「上級参謀教育を受けていない
師団長クラスの将官」と揶揄していた。
「ロンメルの進撃は、戦術的には輝かしいものだったが戦略的には大失敗」
であったと名著「補給戦」の著者クレフェルトは語る。
また本書は、「ドイツ軍のロジスティクスは、総じて作戦主導の思考に固執しており、
ロジスティクスあるいは補給線を軽視していたことは事実。」と語る。
やはりロジスティクスと言えば米軍。
本国から最も遠い中東、南アジア地域に兵力を派遣し、戦闘が継続できる
ロジスティクスを迅速に構築してしまう。
残念ながら旧日本軍のチャプターはない。
ロジスティクスという概念以前の問題なのか・・・
「ロジスティクスを制する者は、ビジネスを制する」