Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

坂の上の雲  読了

文庫全8巻を読了した。

書きたい感想は山ほどあるが、一つ書くとなると、

児玉源太郎満州軍総参謀長)、山本権兵衛(海軍大臣)という二人の人物についてである。

この二人の天才(逸材)がいなかったら近代日本は無かっただろう・・・。

特に山本権兵衛


山本権兵衛―日本海軍を世界レベルに押し上げた男 (PHP文庫)  山本権兵衛―日本海軍を世界レベルに押し上げた男 (PHP文庫)


受験日本史の中での山本権兵衛は、総理大臣を二度務め、二度とも

スキャンダル(シーメンス事件、虎ノ門事件)で失脚したものと教わった。


しかし、司馬遼太郎曰く、彼は”日本海軍のオーナー”なのだ。

海軍大臣官房、海軍大臣として、日本海軍のグランドデザインを描き、不要将官のリストラを断行し、

建艦計画を立て、予算を議会に通し、軍備を整備し、抜擢人事により日露戦争を勝利に導いた。

とにかく一人で全部やってしまったのである。


近代日本の創業期。その近代化の原動力となった明治人たちは、

未完成の国家と自らの姿とを重ね合わせ、国創りの一部を担う気概をもってそれぞれの

専門分野の確立を目指した。


司馬遼太郎曰く、

彼らは幸福な楽天家達だった。途方もない大仕事に無我夢中で首を突っ込んで行く。

彼らは前のみを見ながら歩く。登っていく坂の青い天に、白い雲が輝いているとすれば

それのみを見つめて坂を上っていくであろう・・・。



近代国家創りの一部を担う気概・・・そんな気概だけでも学び、真似て行きたいものだ。