Makotsu Garage

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司馬遼太郎「歴史と視点」

高崎山猿吉に触れた時、司馬遼太郎の言葉を思い出した。

「歴史上には、歴史の表舞台に一瞬だけ登場し決定的な

 影響を与え、その後は消え去るという登場人物がいる。(必要なのだ)」


これぞ司馬史観の真骨頂という感じだ・・・。


例として、幕末鳥羽伏見の戦いの際に、

前線から戦況を京都御所に伝えた伝令(薩摩藩士某)をあげていた。


歴史と視点 (新潮文庫)   歴史と視点 (新潮文庫)


慶応4年1月3日深夜、京都南方の鳥羽・伏見で幕府軍と薩摩・長州の戦端が開かれた。

夜空を赤く染める火災と市内めで届く爆弾・銃弾の地響き・・・。

京都御所に詰める倒幕派の公家達は浮足立ち、「徳川慶喜を恩赦せよ!」

と西郷、岩倉に迫る公家もいた。

西郷でさせも、天皇とともに京都を脱出し再起を図るプランまで持っていた。


そこに薩摩藩士某が戦況報告に御所に駆けつけた。

「お味方大勝利!」

これにより御所内の意見は統一され、薩長軍に「錦の御旗」が降下された。

文字通り官軍となった薩長と賊軍となった徳川の運命はご存じの通り。



ある意味、坂本龍馬暗殺犯もこれに類する歴史上の登場人物だ。

いろいろ説があるが、京都見廻組今井信郎なども

この類も入る。


       坂本竜馬を斬った男―幕臣今井信郎の生涯