Makotsu Garage

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「西郷どん」 ロマンチストか、リアリストか 

今年の大河ドラマは「西郷どん」。

書店は「西郷隆盛」「幕末」で溢れ、

NHKは「これでもかこれでもか」と

関連番組(番宣)を流す。


西郷隆盛ほどドラマ化が難しい人もいないと思う。

そのスケールゆえに、雄大に描けば全体像がボヤケ、

歴史事象にフォーカスすれば人物像が矮小化される。

描き方が難しい・・・。

 

西郷どん 前編 (NHK大河ドラマ・ガイド)

西郷どん 前編 (NHK大河ドラマ・ガイド)


NHK-BS 「幕末ヒーロー伝!薩摩藩の底力」で

磯田道史さんが上手いことを言っていた。

西郷は、目標のロマンチストにして
 手段のリアリストなので強いんですよ。


私も同感。西郷の本質は冷徹なリアリストで

「革命は銃口から生まれる」という革命家だと思う。

 (特に明治六年の政変までは)

でなければ討幕や廃藩置県は成し遂げられない。


しかし、ドラマの主人公として考えると

冷徹なリアリストだけでは視聴者が辛い・・

どうしても「着流しに犬を連れた西郷さん」

寄りになるのは理解できる。


西郷どん! 並製版 上

西郷どん! 並製版 上


今年の大河で鈴木亮平が演じる

西郷どん」は、どんな感じなのだろう?

なんとなく今までにはない

西郷どん」を見せてくれそうで

期待している。


司馬遼太郎は「翔ぶが如く」で、征韓論争から

西南戦争までの西郷隆盛大久保利通を描いた。

この時代に限定するとロマンチスト西郷と

リアリスト大久保の図式が際立つ。


新装版 翔ぶが如く (1) (文春文庫)

新装版 翔ぶが如く (1) (文春文庫)


1990年の大河ドラマが「翔ぶが如く」。

司馬遼太郎の原作に幕末編を加えてドラマ化した。

放送時にリアルタイムで見た記憶は無いが

今、YouTubeで見ると西田敏行演じる

西郷隆盛の鬼気迫る演技が凄い。

今までで一番印象に残る「西郷どん」だ。


特に明治六年「太政官会議」シーンでの

大久保利通鹿賀丈史)とのバトルは凄い!