Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

白書出版産業 2010

仕事で新規事業の企画書や事業計画書を作るのに

出版市場に関するデータを探すことがあるが、

どの資料も”帯に短し””帯に短し”・・・  あまり役に立たない。


なぜ役に立たないかというと、切り口が古くからの紋切り型で、

現在のマーケット形態を反映していないのが原因とみている。

それらのデータを見ても、現在出版マーケットで起きている

リアリティを感じられない。


白書出版産業 2010

白書出版産業 2010


しかし、この「白書出版産業2010」は違った。

かなり”痒い所に手が届く”。そして各テーマ設定も非常にタイムリーだ。

次に事業計画書を書くときに有用だと思い

ちょっと値段は高いが購入した。



出版市場は1996年をピークに約6000億円の市場が喪失した。


1996年に何があったか?


それは明快だ。1995年がインターネット元年(第一の黒船)なのである。

当時、いや今でさえも「出版物とネットのカニバリズムはない」

と言っている人がいる。 

まるで「茹でガエル現象」を画に書いたように鈍感な人だ。


ネット・携帯が余暇時間、可処分所得を、ジワジワ出版物から奪い去った

その結果が6000億円の市場喪失だ。


この白書の中には、


 ・グループ化とアライアンス

 ・電子ブックデバイス電子書籍配信

 ・オンデマンド出版10年の総括

 ・取次の市場構造


等、目新しい記事があり興味を弾く。またどれもよく調べて記述してある。


特に元ブッキングの佐田野さんの書いた

「オンデマンド出版10年の総括」は、

私もオンデマンド出版に携わっていた時期があり、感慨深く的を得た内容だ。


2010年 第二のインターネット”電子書籍”が

いままさに出版市場に来航し、

言葉は古いが”ドッグイヤー”の様相を呈している。


この白書は、2004年に続いて6年振りの刊行。

残念ながら年度版ではない。

いまや年度版でさえ、情報は遅すぎるくらいなのに・・・。



出版状況クロニクル〈2〉2009年4月‐2010年3月   出版状況クロニクル〈2〉2009年4月‐2010年3月


その間の出版業界動向を分析・解説してくれるのが

「出版状況クロニクル」(小田光雄


こちらは、ちょっと著者の決めつけ型だが、

月刊でタイムリーな出版状況を記述してくれる。


http://d.hatena.ne.jp/OdaMitsuo/searchdiary?word=%2A%5B%BD%D0%C8%C7%BE%F5%B6%B7%A5%AF%A5%ED%A5%CB%A5%AF%A5%EB%5D


これは最初の巻


出版状況クロニクル    出版状況クロニクル