今年度の定年退職者は今日が最後の勤務。
あちこちの職場でスピーチや挨拶回りが行われていた。
そんななか、私が最初に配属された職場のIさんも、
今日で最後だった。
「Iさんの思い出と言えば、社員旅行で酔って海岸のテトラポットの
中に落ち、足が荒れて一人だけ泊らずに電車で帰った事ですね。」
「いやいや、田原坂の方が凄かったろ。」
そう!田原坂は凄かった! (西南戦争の激戦地のことではありません)
大門街道(通称:田原坂)
今から17年ぐらい前、会社の仲間でスキーに行った。
場所は長野県蓼科のエコーバレースキー場。
車2台で8人。乗用車とワゴン車。Iさんはワゴン車に乗っていた。
ワゴン車の運転手は、前日係長に昇格したばかりのTさん。
その興奮がまだ残っているようで、車中もハイテンション気味。
私はもう一台の乗用車に乗っていた。
前を走るワゴン車のの車線変更が、かなり強引だ。
・・・もしかして、Tさん運転かなり下手?
ワゴン車の後部座席は、酒で大盛り上がり!
そんな状況の中、白樺湖へ通ずる大門海道の上り坂(通称:田原坂)
で事件は起こった。
Tさんがヘアピンカーブでハンドルをきりすぎて、
ワゴン車がガードレールの間から谷に落ちていった。
Iさん曰く
「ジェットコースターの様だし、天井に頭ぶつけるし、
荷物やスキー道具が車内を転がるし、正直死ぬかと思った」
ましてや、杉の大木の直前で車が停止したことも、肝を冷やさせた。
幸い怪我もなく、皆で茫然としていると、
大型クレーン車が通りがかった。
運転手さんが非常にいい人で、クレーンで車を引き揚げてくれた。
(今思えば、奇跡的な出来事だ)
当然、Tさんは運転手交代。
それからTさんは、先程のハイテンションが嘘のように元気がなくなった。
(すっかり反省モード)
夜の宴会では、皆の無事を祝うとともに、Tさんの運転下手を肴に盛り上がった。
その際、あの事件現場の坂を運転手の名前を取って、
そう、バレー部の背の高い、Tさんです。 桶川にいます。
定年退職するIさんが去り際に
「田原坂を思えば、無事に定年を迎えられて本当に良かったよ!」
納得、納得
伊藤さん長い間、お疲れ様でした。