Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

NHKスペシャル 激闘ガダルカナル悲劇の指揮官

NHKスペシャルは、毎年終戦記念日の前後に

戦争関連の番組を放送する。

戦後74年の月日を経ているのに、毎回、新たな証拠・証言に

基づく歴史の真実をつまびらかにし、我々に問題提起する。

 

この日(8/11)の放送は、ガダルカナル

日本軍の組織、統帥、補給の失敗の権化として、多くが語られる

ガダルカナルだが、NHKスペシャルでは「一木支隊 ※」に

フォーカスし戦場の真実と教訓を語り掛ける。

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一木支隊」はガダルカナル反攻に真っ先に投入された精鋭部隊。

兵力10倍の敵に攻撃を実施し全滅した。(部隊長の一木大佐は戦死)

従来は、敵兵力の過小判断と自らへの過信が敗因、とレッテルを

張られてきたが、真実はそうでなかった。

陸軍、海軍の組織論理の歪がすべて「全滅」に結実していた。

両組織は戦略目標の共有もされず、個別の戦果を求めて戦い敗れた。

その具体例が下記の点。

 

・第一次ソロモン海戦。敵巡洋艦等の大戦果に気を良くし、

 主目的である輸送船団の撃破は行わずに引き上げた。結果、敵軍は

 補給物資により格段に増強されてしまった。 

・「一木支隊」とラバウルの司令部の無線中継が任務の潜水艦

 「敵空母発見・迎撃」の命令を受け持ち場を離れた。

  結果「一木支隊」司令部と連絡がつかなくなり、敵情不明の

  まま単独で攻撃するしかなかった。

・攻撃開始日に「一木支隊」を航空支援するはずの海軍航空隊は、

 「空母索敵・攻撃」を優先した。しかし敵空母は発見できず、

 ようやくガダルカナル上空に辿り着いた時には全滅していた。

 

陸軍は「ガダルカナル飛行場の奪還」を。海軍は「敵空母部隊

の殲滅」を戦術目標とし、それは決して相いれなかった。

組織の論理?プライド? 一体何なんだ・・・?

戦況の肝心な部分で、その齟齬が大敗北(損害)に繋がった。

ひどい話である。

誰が一木支隊を全滅させたのか ガダルカナル戦と大本営の迷走

誰が一木支隊を全滅させたのか ガダルカナル戦と大本営の迷走

 

” 組織の論理”の弊害って旧日本軍の話だけじゃないから

 他人事にはしていられない。(失敗の本質 中公文庫

もちろん戦争の悲劇も忘れてはならない。

毎年夏にNHKスペシャルを見て自分の肝に銘ずる。
www6.nhk.or.jp