最近読んだ本の中では格別の面白さだった。
2018年1月刊行で出版社がユウブックス・・
全くノーマークだった。
幕末に撮影された江戸の風景写真20枚について、
その撮影地点を、古地図と現代地図上にプロットし
現代の風景と比較する。そして写真に写る、
大名・旗本屋敷、江戸城、町家・商家について
文献、古文書、古地図から撮影時期を特定し
当時の状況を詳細に解説する。
これがブラタモリ的に面白い。
例えば、この写真は、
愛宕山から撮影された江戸パノラマ写真の一枚
撮影者フェリーチェ・ベアドの来日時期と新聞への掲載時期、
太陽の高度・方位角から撮影時期は1863年(文久3年)8月頃
と仮定。写っている屋敷は、順番に
よく見ると屋敷の中央が空き地となり、周辺の家屋を解体
しているように見える。これは前年(文久2年)に発令された
参勤交代緩和令※による大名家族・家臣の国元への帰国で
不用となった建物(奥御殿)の解体と推測できる。
※黒船来航に対する海防拡充のために、参勤交代と
妻子江戸居住の財政負担軽減を目的に、参勤交代緩和令
が発令された(参勤交代は3年に一度、妻子の帰国は自由)
このような感じで、一枚の江戸の風景写真から
多くの歴史事象が浮かび上がる。これは面白い・・
そして白黒写真の中に
江戸の街の美しさを想像する。
いい本に巡り合った。
著者のトークイベントがあるらしい。これは行きたい。
3月1日[木]19:30-21:30 参加料1,500円