「本の学校 出版シンポジウム2021」(配信)の
「POD(プリント・オン・デマンド)による出版流通改革」を受講する。
PODについては私も一過言ある(笑)。
2005年から2008年まで「㈱デジタル・パブリッシング・サービス」
(㈱トーハンと凸版印刷㈱の合弁会社)に出向し、黎明期のPODの最前線で
あくせく藻掻いていた経験があるからだ。
セミナーを聞いて注目した点が二つあった。
一つ目はセミナーの内容が非常に地に足がついたものだったこと。
登壇者は ・出版社(PHP研究所 デジタルライツ本部 高畑千恵)
・印刷会社(大日本印刷 出版イノベーション事業部 新家義晴)
・書店、取次(合同会社 読者未来研究所 田口幹人)
と従来のステークホルダー。もっとIT関連を交えた最先端の突飛な話に
なるのかと思っていたら、意外にも従来の流通に足の着いた内容だった。
二つ目は思いのほかPODが進歩していなかったこと。
登壇者の話した内容(事業スキーム、問題点)が私が携わっていた2008年当時と
ほとんど変わってなかった。どうやらこの間の進歩はすべて電子書籍の方へ
いってしまったようだ。これは少しショックだった。
(もっともKADOKAWA、AmazonPODやインプレスR&Dの話を聞けば、
もっと違った印象だったかもしれないが・・・)
コスト面、品質面、権利関係・・ハードルは高いまま
PODはなかなかブレイクスルーできないようだ。
そんな中、読者未来研究所 田口幹人さん話が興味深かった。
「三浦綾子記念文学館」の事例で
”ライツ扱いから本屋を開業するモデル”の話はまさに”目からウロコ”。
この手があったか・・・・
このスキームを知っていたら、私が携わっていた当時の売上を倍に出来たな~。
「ライツと読者(本屋)を結びつける」・・・
至極、当たり前のことだけれど、これができていないことが多い。
このGAPを埋める手段にPODスキームが有効なのか・・
まだまだ知恵を絞る余地は沢山あるな~
非常に興味深いセミナーでした。