これも書店で非常に目立っている新刊だ。
大躍進政策とは
「英米に10年以内に追いつく」。毛沢東がそう豪語して1950年代後半に
始まった農工業の大増産政策である。
しかし、農村の現状を無視した強引なノルマを課した上、三年自然災害も重なった結果、
推計2000万人から5000万人ともいわれる餓死者を出し大失敗に終わった。
この社会主義の「壮大なる実験」は、「悲惨なる失敗」に終わった。
1959年、毛沢東はこの政策失敗を認めて国家主席を辞任し、実質的な権力を失った。
代わって訒小平・劉少奇などが修正主義的路線に基いて経済を再建していった。
しかし5年後、文化大革命で毛沢東は復権し、訒小平は失脚した。
その後、毛沢東の死後に「四人組」が逮捕され、訒小平が三度目の復活を果たし、
GNP世界第二位の経済大国となった。
脈々と受け継がれる”凄まじい権力闘争”の伝統。
これが中国の伝統なのだろう。
本書は、新華社の高級記者(局長級)だった著者が、各省の公文書館の
秘密文書を渉猟調査してその「大躍進」の実像を初めて描いたもの。
時間を取ってゆっくり読みたい1冊だ。
A5判上製カバー装 592ページ 3098円(税込)